実在した陰陽師である安倍晴明が音楽好きの貴族・源博雅と一緒に不可解な謎を解き明かしていく。夢枕獏のベストセラー小説「陰陽師」シリーズは小説だけでなく、コミック、テレビドラマ、映画、舞台、Netflixの配信アニメと様々なメディアで展開されてきた。映画『陰陽師0』は山﨑賢人を主演に迎え、陰陽師になる前の晴明が博雅といかに出会い、絆を結んでいったのかを描いた"安倍晴明の生誕1100年"を記念したアニバーサリー作品である。夢枕獏が「『陰陽師』の映画化をするならこの人に」と望んだ佐藤嗣麻子監督に物語の着想のきっかけ、キャストや演出について語ってもらった。(取材・文/ほりきみき)

テイクを重ねても淡々と取り組んだ山﨑賢人


──安倍晴明を山﨑賢人さんが演じています。頭の中で喋っていた晴明は山﨑さんに似ていましたか。

脚本を書いている頃は声だけで、顔のビジュアルは見えていません。

山﨑さんが決まったのは脚本がほぼできてからでした。2021年くらいに初めてお会いしましたが、生活感がなく、オーラが不思議な方でした。「人間ではない」と周りから見られていた晴明に通じるものがあると感じました。山﨑さんも陰陽師のようなちょっと不思議な世界がお好きだったので、陰陽師の世界観のようなことについて、いろいろお話をしたのを覚えています。

画像: テイクを重ねても淡々と取り組んだ山﨑賢人

──山﨑さんに晴明を演じてもらうに辺り、事前に何か伝えましたか。

事前にこちらから何か伝えるというのではなく、山﨑さんが脚本を読んで作ってきた晴明を見て、調整しました。実は染谷さんにも協力してもらって、リハーサルをしっかりやったのです。最初はどういう声で演じようかと山﨑さんが探していたように感じました。ご本人にはそういう意識はなかったかもしれませんけれどね。山﨑さんが晴明を掴んでからから本番に挑みました。


──山﨑さんは『キングダム』シリーズや『ゴールデンカムイ』などで、肉体的にたくましい役どころが続きましたが、この作品ではしなやかな感じでした。晴明らしい体作りをしてもらったのでしょうか。

いえ、お目にかかったときはすでにほっそりとしていました。脚本を読んで、ご自身で晴明らしい体作りをしてくださったのだと思います。


──現場での山﨑さんはいかがでしたか。

何十回もテイクを重ねたところがあったのですが、まったく文句を言わずに淡々とやってくれました。ストイックな方だなと思いました。

ワイヤーアクションにも取り組んでいただきました。撮影が2022年3~5月だったので、アクションの振り付けや練習をしていたのが北京オリンピックの頃。テレビで羽生結弦さんのスケートがあちこちで紹介されていて、アクション監督の園村健介さんがそこからインスピレーションを得て、予告編にも出ている少し浮いているような感じのアクションシーンを作りました。山﨑さんは本当に身体能力が高い方なので、苦戦されることなく、さらっとやってくださいました。

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