ライオン・キング:ムファサ』で声の出演を果たすなど、ハリウッド大作にも引っ張りだこのマッツ・ミケルセン。そんな彼が自国のデンマークで主演を果たした『愛を耕すひと』が、2月14日、待望の公開を迎える。18世紀のデンマークを舞台に、貴族の称号を得るため荒野の開拓に挑む退役軍人ルドヴィ・ケーレン大尉の劇的な運命を描いた本作。監督を務めたのは、2012年の『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』以来、マッツと2度目のタッグを実現させたニコライ・アーセル。ルドヴィ役をオファーした理由から、監督と俳優の関係、マッツのデンマークでの人気など、マッツの素顔もよく知るアーセル監督に話を聞いた。(取材・文:斉藤博昭)

“映画を観る人にもその場にいるような感覚を届けたい“

ーー(スクリーン1月号の表紙を見せて)日本ではこのようにマッツが大人気なのですが、デンマークの人たちにとって彼はどのような存在なのでしょう。

「私たちデンマーク人にとっても最も有名なスターなのは言うまでもありません。そしてスターというだけでなく、性格俳優として尊敬されています。アナス・トマスの作品ではコメディ、トマス・ヴィンターベアの作品ではシリアスドラマ、私の作品では時代モノと、監督によってまったく違う演技をみせるのも彼の才能です。デンマークは小さい国なので国民全体が家族のような意識があります。もしマッツが街を歩いていたり、レストランで食事をしていても、誰も近寄ってきて話しかけたりしません。アメリカでは無理でしょう。 おそらく日本の人たちなら『邪魔をしたら悪い』という感覚を理解してくれますよね?」

SCREEN2025年1月号

ーーでは10年以上前の『ロイヤル・アフェア』の頃と、現在のマッツの違いは?

「10年経って、あれだけの大スターになったにもかかわらず、マッツの性格はほとんど変わっていません。地に足がついたポジティブな人間で、『愛を耕すひと』でも同じように仕事ができました。ただおたがい年齢を重ね、人生に対して少しシニカルになったかもしれません」

画像: “映画を観る人にもその場にいるような感覚を届けたい“

ーー『愛を耕すひと』は18世紀が舞台です。夜のシーンではマッツの顔をロウソクの光が照らすなど、当時をリアルかつ美しく再現した映像も見どころです。

「映画を観る人にもその場にいるような感覚を届けたい……。25年間一緒に仕事をしてきた撮影監督と私は、そこを重視しました。あちこちから照明の光が入る“ハリウッドの夜”ではなく、“スカンジナビアの夜”を映像化したわけです。小さなランプやロウソクの灯りが照らすものだけが見えると、ちょっと閉所恐怖的にもなります。もちろん撮影のためにフレームの外からわずかな照明も使いますが、この技法は『ロイヤル・アフェア』でも試しました。ルドヴィと(ほのかに惹かれ合う相手の)エレルのロマンティックなシーンも、あくまでも自然な光を意識しています。本作の映像は絵画からもインスピレーションを受けており、フェルメールの作品のような美しいシーンを完成することができました」

『愛を耕すひと』
2025年2月14日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
配給:スターキャット、ハピネットファントム・スタジオ
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