ライオン・キング:ムファサ』で声の出演を果たすなど、ハリウッド大作にも引っ張りだこのマッツ・ミケルセン。そんな彼が自国のデンマークで主演を果たした『愛を耕すひと』が、2月14日、待望の公開を迎える。18世紀のデンマークを舞台に、貴族の称号を得るため荒野の開拓に挑む退役軍人ルドヴィ・ケーレン大尉の劇的な運命を描いた本作。監督を務めたのは、2012年の『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』以来、マッツと2度目のタッグを実現させたニコライ・アーセル。ルドヴィ役をオファーした理由から、監督と俳優の関係、マッツのデンマークでの人気など、マッツの素顔もよく知るアーセル監督に話を聞いた。(取材・文:斉藤博昭)

“目標や野心に囚われすぎると、幸せを逃すこともある”

ーーあなたの作品は音楽も印象的です。作曲家にもこだわりがありそうですね。

「私は毎回、作品に合わせた作曲家を探すことに多くの時間を費やします。たとえば『ロイヤル・アフェア』は王室を描くので、ガブリエル・ヤレドが最適だと考えました。『イングリッシュ・ペイシェント』などを手掛けた大御所ですが、デンマークには彼のような作曲家はいません。今回お願いしたダン・ローマーも、アメリカの有名な作曲家です。すべての映画は、それぞれ異なる“音楽体験”でもあるので、私は同じ作曲家と何度も組む可能性が低いのです」

ーー『ダークタワー』では監督としてハリウッドでの仕事も経験しましたが、今後ハリウッドとの関係は?

「『愛を耕すひと』もアメリカでは高評価を得たので、ハリウッドとの関係は良好です。ただ正直に言うと、デンマークで映画を撮ることのほうが好きです。表現の自由が大きいからでしょう。ハリウッド作品では“雇われている”感覚が強く、作品に関して多くの指示を受け入れなくてはならない。もしハリウッドに戻るなら、メジャースタジオではなく、自分でコントロールできるインディペンデントの映画を監督したいです。『愛を耕すひと』も『ロイヤル・アフェア』も、デンマーク映画にしては製作費が高めです。歴史を再現するのでお金がかかるからですが、ハリウッドに比べれば低予算と言っていいでしょう」

ーーでは最後に『愛を耕すひと』が、今を生きるわれわれに何を伝える作品なのかを聞かせてください。

「いくつかのメッセージを見つけられます。富める者と、そうでない者の対立。自分の権利を守るために闘うことなど社会的テーマもありますが、最も重要なのは個人の内面に訴えるものです。人生において目標や野心に囚われすぎると、幸せを逃すこともある。そこに執着するあまり、自分の周りにある大切な何かに気づかないルドヴィの運命から、ぜひ何かメッセージを受け取ってください」

画像: “目標や野心に囚われすぎると、幸せを逃すこともある”

『愛を耕すひと』
2025年2月14日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
配給:スターキャット、ハピネットファントム・スタジオ
© 2023 ZENTROPA ENTERTAINMENTS4, ZENTROPA BERLIN GMBH and ZENTROPA SWEDEN AB

This article is a sponsored article by
''.