ライオン・キング:ムファサ』で声の出演を果たすなど、ハリウッド大作にも引っ張りだこのマッツ・ミケルセン。そんな彼が自国のデンマークで主演を果たした『愛を耕すひと』が、2月14日、待望の公開を迎える。18世紀のデンマークを舞台に、貴族の称号を得るため荒野の開拓に挑む退役軍人ルドヴィ・ケーレン大尉の劇的な運命を描いた本作。監督を務めたのは、2012年の『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』以来、マッツと2度目のタッグを実現させたニコライ・アーセル。ルドヴィ役をオファーした理由から、監督と俳優の関係、マッツのデンマークでの人気など、マッツの素顔もよく知るアーセル監督に話を聞いた。(取材・文:斉藤博昭)

“もしマッツが断っていたら、映画は作らなかったでしょう”

ーーマッツに本作の出演をオファーした理由から教えてください。

「『ロイヤル・アフェア』の後、何年もマッツを起用できる映画を模索してきました。『愛を耕すひと』の原作は、50歳の元軍人が荒野を馬で駆ける設定だったので『よし、これだ!』と思ったわけです」

ーー脚本には、マッツと何度も仕事をしているアナス・トマス・イェンセンも加わっています。

「原作を読んでアナス・トマスに協力を依頼しました。ですからマッツに役をオファーする前ですね。アナス・トマスと話して主役がマッツにぴったりだと再確認できたんです。彼と一緒にオファーしたところ、マッツは脚本を読みたいと快諾してくれました。そこからルドヴィのキャラクターについてマッツを含めて話し合いを重ねたところ、マッツも多くのアイデアを出してくれたわけです。ルドヴィを他の俳優に託す選択は、今となっては想像できません。もしマッツが断っていたら、映画は作らなかったでしょう」

ーー具体的にマッツはどんなアイデアを出したのですか?

「もともとルドヴィは、タフで内向的、野心に溢れつつ感情表現が得意ではないキャラでした。マッツの意向は、その側面を“強固”にすること。あえて最初は感情移入しづらい人物像にして、そこから終盤に向けて共感してしまう流れを、彼は求めていました。マッツが素晴らしいのは、そんなルドヴィをミニマルな演技で表現したこと。大げさな表情ではなく目の演技や顔つきで感情を伝え、そこにはマッツの人生経験も見てとれます。無言の静かなシーンでは、その才能が一目瞭然でしょう」

画像: “もしマッツが断っていたら、映画は作らなかったでしょう”

ーー『愛を耕すひと』でルドヴィが髭を剃るシーンがありますが、以前にアナス・トマス・イェンセンが「マッツは髪の毛や髭が伸びるスピードが速い」と話していました。

「この作品で私が見せたかったのは、荒野で一人、馬に乗っている男の姿でした。その男、ルドヴィは完璧主義者でもあり、ただ銃を持って馬に乗る日々でも朝起きれば髭を剃ります。元軍人らしいと言えますが、髭を剃る姿はルドヴィが孤独であることも示していると思います。たしかにアナス・トマスの言う通り、マッツの髭はすぐ伸びるという印象ですね。でもこの特徴は便利で、やつれたように見せたいシーンを撮る時は、マッツに『今朝は髭を剃らないで』と頼めばいいわけですから(笑)」

『愛を耕すひと』
2025年2月14日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
配給:スターキャット、ハピネットファントム・スタジオ
© 2023 ZENTROPA ENTERTAINMENTS4, ZENTROPA BERLIN GMBH and ZENTROPA SWEDEN AB

This article is a sponsored article by
''.