啓弥の溺愛と一咲が振り回される姿を楽しんでほしい
──監督からご覧になった福本さん、ジェシーさん、それぞれの俳優としての魅力を教えてください。
福本さんの魅力はたくさんあるのですが、やっぱりいちばんは芯の強さですね。役に対して正直で、役者・福本莉子と一咲の距離感を保ちつつ、ちゃんと一咲になっている。
しかも、すごく理論的に役に取り組んでいる印象がありました。こちらから何か言えば、なぜそうするのかを自分の中ですぐに理解して、芝居に落とし込んでいたのです。若い方には珍しいですね。
ジェシーくんも魅力が尽きないのですが、役者として求められているものを最適格なパフォーマンスにして出すことができる方です。例えば、今回は声のトーンを低くして喋ってもらったのですが、顎をぐいっとするなどのカッコよくなるシーンは形も決まっているし、声もそれにうまくハマって、とにかく最適格なのです。
また、人としての魅力やそれを見せる力もすごくありますね。ジェシーくんは不器用なのかもしれませんが、器用に見えるようにしている感じもありました。

──福本さん、ジェシーさんとまた一緒に仕事をするなら、次はどんな役を演じてほしいと思いますか。
ジェシーくんとは現場でもそういう話をしていましたが、2人とも、もう少しはっちゃけた感じの役どころを演じている姿を見たいですね。特にジェシーくんは今回、押さえなくてはいけない部分がありましたから、もっとワイワイした、ご本人に近い感じといったところでしょうか。ジェシーくんはとても芸達者なので、それが活かされる作品もいいですね。
福本さんには、一咲が座布団に座っているときにそのまま横に倒れるシーンがありますが、下手に倒れると座布団というちょっとした段差があるだけでものすごく痛い。僕が自分でやってみたら、めちゃくちゃ痛くて悲鳴を上げそうでした。ところが福本さんはさらっとやってくれました。福本さんは学生時代、サッカー部だったそうですが、身体能力がすごく高いからできるのでしょうね。しかも、アニメ的なコミカルな動きで面白みがある。福本さんにはコメディエンヌの才能もあるのです。その才能と高い身体能力を活かした役がいいのではないかと思います。
──これからご覧になる方々にひとことお願いいたします。
啓弥の溺愛と一咲が振り回される姿を楽しんでいただければと思います。そして、ご覧いただいた後に、何か1つ、ご自身の殻を破ってみようという気持ちになっていただけたらうれしいです。
<PROFILE>
小林啓一
2011年に初長編映画『ももいろそらを』を脚本・監督。同作品が第24回東京国際映画祭ある視点部門にて作品賞を授賞。サンダンス映画祭、ロッテルダム映画祭他、多数の映画祭に招待を受け、第50回ヒホン国際映画祭では日本映画として初のグランプリを受賞。続く長編『ぼんとリンちゃん』(14)では第55回日本映画監督協会新人賞や第18回上海国際映画祭アジアン・ニュー・タレントアワード優秀撮影監督賞他を受賞。その後、『逆光の頃』(17)、『殺さない彼と死なない彼女』(19)と話題作を手掛けており、『恋は光』(22)で第44回ヨコハマ映画祭で作品賞・監督賞の2冠を獲得するなど高い評価を集める
『お嬢と番犬くん』2025年3月14日(金)全国ロードショー
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youtu.be<STORY>
幼い頃に両親を亡くし、瀬名垣組組長である祖父に引き取られ育った瀬名垣一咲。
「極道一家の孫」という立場から孤立し、友達が出来なかったトラウマを持つ一咲は、高校入学を機に、極道一家の孫であることを隠して、「普通の友達を作って、普通に恋をする!」と決意する。
ところが、瀬名垣組の若頭で、一咲の世話役でもある宇藤啓弥が、なんと年齢を詐称して同じ高校に裏口入学!過保護すぎる啓弥は、一咲の「番犬」としてボディガードをすると宣言。
一咲はそんな啓弥に慌てふためきつつも、憧れの高校生活を守ろうと、自分と啓弥の素性を隠して奔走する。
そんな一咲と啓弥の前に、瀬名垣組の兄弟分にあたる田貫組組長の孫・田貫幹男(たぬき・みきお)が同じ高校に転入。二人の関係をかき乱してきて・・・。
はたして、一咲は普通の恋と青春を送ることができるのか──。
<STAFF&CAST>
原作:はつはる『お嬢と番犬くん』(講談社「別冊フレンド」KC)
監督:小林啓一
脚本:政池洋佑
音楽:森いづみ
主題歌:「バリア」SixTONES(ソニー・ミュージックレーベルズ)
挿入歌:「銃口をハートに向けて」乃紫(MR8/MIJ Quality Records)
出演:福本莉子 ジェシー(SixTONES)
櫻井海音 / 香音 松井遥南 井上想良 ぐんぴぃ 葵揚 岩瀬洋志
佐々木希 飯田基祐 杉本哲太
配給:東宝
© 2025「お嬢と番犬くん」製作委員会