『ウィキッド 永遠の約束』スペシャルインタビュー:シンシアとアリアナが語る、キャラクターに込めた魂
前作と本作を同時進行で撮影し、役の孤独や葛藤まで深く掘り下げたふたり。キャラクターへの情熱を注ぎ切ったシンシアとアリアナが完成した今だからこそ言える作品への想いを語ってくれました。

Photo by Bruce Glikas/FilmMagic
“光と闇が混在したキャラクターを演じられたことは、素晴らしい経験になりました”(アリアナ)
──前作からこの2作目にかけて、演技のアプローチはどのように変化しましたか?
アリアナ「2作を同時に撮影したので、“靴を履き替える”感覚はありませんでした。たとえば月曜から水曜まではパート1の『ふたりの魔女』、木曜から土曜はパート2『永遠の約束』の撮影というスケジュールもあったくらいです。さらに『今日は天候が悪いから、それにふさわしいロケ撮影に変更』となり、『永遠の約束』の重要なシーンに挑んだりもしました。つまり同時進行ですね」
──つねに2作分の準備をして、日々の撮影に備えていたわけですね。
「すべての撮影が始まる前に、グリンダがどんな人物なのか深く理解するようにしました。スクリーンには映らないであろう彼女の側面も、演じるうえで重要だったからです。『ふたりの魔女』ではグリンダは明るく輝いている存在でしたが、そこに隠された多くの不安や心の傷が承認欲求につながることを意識しながら演じていました。準備万端だったからこそ、2作のどのシーンの撮影になっても、すぐに対応できたのです。このように光と闇が混在したキャラクターを演じられたことは、素晴らしい経験になりましたね」
──「ウィキッド」2作のプロモーションで最も印象に残ったエピソードを聞かせてください。
「ファンとの交流はどれも忘れられません。中でも思い出深いのは、“レミントン”との共演です。4歳の男の子で、TikTokで『ウィキッド』の歌を披露して人気になった彼と、NBCのTV番組で一緒にパフォーマンスしました。もう本当に可愛くて、何をやってくるか想像もつきませんでしたが、完璧なパートナーになってくれたんです。私自身、子供の頃から『ウィキッド』が大好きだったので、レミントンとの共演は最高のプレゼントになりました」

──この『永遠の約束』は、望んでいたものを手に入れたはずのグリンダが、そんな自分が正しかったのか迷うドラマも描かれます。
「冒頭では選択が正しかったと、グリンダが自分に言い聞かせようとしています。結局のところ、彼女の選択は正しかったのですが、ずっと夢見てきたものすべてを手に入れたはずなのに、激しいほどの孤独も感じているのはなぜか。すべての運命を変えるうえでやれることは限られていたし、もし自分がホウキに乗って飛び立っていたら落ちていただろう……など、親友を失った悲しみから本作は始まります」
──そして今回、舞台版にはない新曲でグリンダのソロである「ザ・ガール・イン・ザ・バブル」が用意されました。
「スティーヴン・シュワルツが書き下ろした新曲を歌えるなんて、一生に一度の特権でしょう。もちろん光栄でしたし、自分に歌えるか不安と恐怖もあったので緊張感とともに臨みました。この曲はグリンダにとって重要な意味を持ちます。見せかけの善良さではなく、杖を手放し、真に善良な人物へと変貌をとげるからです。つまり一人のキャラクターのビフォア/アフターを表現できる。もうひとつ難しかったのは、曲の途中での歌い方の変化です。クローゼットの中を覗き込み、純粋で楽しかった時代の自分を思い出し、警戒心を取り払って心を開く。舞台版では描かれなかった瞬間を、私の歌で表現できるわけで、そのような機会をもらえたことに幸せを感じました」
アリアナ・グランデ
グラミー賞を2度受賞した世界的シンガーソングライター。俳優としても映画『ドント・ルック・アップ』(21)等に出演。幼少期から「ウィキッド」の大ファンであることを公言しており、念願のグリンダ役を射止めた。

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“人々に影響を与える作品に関われた事実は、永遠に私の心に刻まれているはずです”(シンシア)
──2作を完成させた今、率直にどのような感情に浸っていますか?
シンシア「パート1の『ふたりの魔女』から現在に至るまで、この壮大なプロジェクトに対し、私は完全な準備で挑めたとは思っていません。もちろん人生を変えるような作品になることは確信していましたし、私の芸術に対する愛を深め、見方を変えるチャレンジになることも理解していました。ただ、どこまで重大な作品になるかは、作品に関わる前は予想できていなかったのです」
──『永遠の約束』では、エルファバのために「ノー・プレイス・ライク・ホーム」が書き下ろされました。新曲にはどうアプローチしましたか?
「まず伝えたいのは、私にとって音楽はもうひとつの言語であり、音楽にどっぷり浸っていると天国にいる気分になれるということ。そのうえでスティーヴン・シュワルツと一緒に新曲を作り上げ、探求していくプロセスを経験できたわけですから、最高の幸せです。すでに多くの人に歌われた曲には、ひとつのイメージが完成されています。しかし私たち一人一人は、他の人と違う声を持ち、アルファベットの表現にも個性があります。そういった気持ちで新曲にもアプローチしました。自分の持っている道具で、自分だけの音を作り出す。そして音楽の中に新しいニュアンスを発見する。今回の新曲では新たに学んだことも多かったですね」
──ジョン・M・チュウ監督の特徴について改めて聞かせてください。
「遊び心に溢れ、好奇心旺盛な監督です。彼はいくつものテイクを撮影し、そのすべてで私は新たな何かを得ていた気がします。私が撮影中によく使った言葉が“Shits and Giggles”。つまり遊びのノリでやりましょう、ということ。ひとつのことを試すのではなく、自分の表現が空っぽになるまで何でもトライするわけです。いろんなボールを投げているうちに、最高なものが手に入る感覚。それもこれもジョンを失望させたくないという思いから生まれるわけで、とにかく彼とセットにいる時間が私は大好きだったのです」
──今回の『永遠の約束』で最も誇りに思うシーンはどれですか?
「ひとつに絞るのは難しいですが、強いて挙げるなら『ノー・グッド・ディード』のシーンでしょうか。ブルースクリーン、炎や岩をバックに、私だけの撮影でした。エルファバが過ぎ去った記憶を振り返り、怒りが爆発するというダイナミズムが要求されたのです。それまで強いキャラクターと思われていたエルファバが、自分を見つめ直し、それまで表に出てこなかった弱さ、優しさを掘り起こす表現はチャレンジングでしたね。エルファバの本能や失恋、悲しみや痛み、愛と欲望のすべてを捉え、本当に心臓が鼓動した感覚を味わえ、私も誇りに感じました」
──長い時間をかけた『ウィキッド』2作を、あなたは後にどのように振り返るでしょう。
「映画を観た女性からこんな声をかけられました。『これまで怖い思いもしてきたけど、自分に自信が持てるようになった。人生を変えてくれた作品です』と。多くの人が、このように『ウィキッド』のキャラクターと一体化してくれました。人々に影響を与える作品に関われた事実は、10年後も20年後も、いや永遠に私の心に刻まれているはずです」
シンシア・エリヴォ
舞台「カラー・パープル」でトニー賞主演女優賞を受賞、映画『ハリエット』(19)ではアカデミー賞主演女優賞と主題歌賞にノミネート。待機作はイドリス・エルバ共演のサスペンスアクション『Children of Blood and Bone(原題)』。
『ウィキッド 永遠の約束』
2026年3月6日(金)公開
アメリカ/2025/2時間17分/配給:東宝東和
監督:ジョン・M・チュウ
出演:シンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデ、ミシェル・ヨー、ジェフ・ゴールドブラム、ジョナサン・ベイリー、イーサン・スレイター、マリッサ・ボーディ、ボーウェン・ヤン、ブロンウィン・ジェームズ
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