2019年以降も続々映画化が予定されている日本のキャラクター
映画化できるコンテンツを国の内外で貪欲に探すハリウッドだが、最近、日本の漫画やアニメを基にした作品が次々と製作されている。今年の2月には、木城ゆきと作の漫画「銃夢」の実写映画化作品「アリータ:バトル・エンジェル」が公開され、5月には世界中で大人気の〝ポケモン〞の実写映画化作品「名探偵ピカチュウ」と、日本製怪獣を代表するゴジラを主役とした「ゴジラキング・オブ・モンスターズ」が公開される予定。
コンピュータゲームを原作にした作品では、「ソニック・ザ・ムービー」や「モンスターハンター」が公開を控えている(前者は2019年11月8日、後者は2020年9月4日に、それぞれアメリカ公開予定)。さらに、漫画「AKIRA」や「進撃の巨人」を原作とした映画や、アニメーション映画「君の名は。」の実写映画、海外でも知られている人気キャラクター、ハローキティを主人公とした映画をニュー・ライン・シネマが製作することが報じられ、さらに「機動戦士ガンダム」をレジェンダリーが製作するなど、メイド・イン・ジャパンのコンテンツの映画化が目白押し状態になっている。
先にも書いたように、ハリウッドは常に映画の材料となる素材を探している。特に、近年では、Netflix、Hulu、Amazonといった映像ストリーミング会社が映画製作に参入。自宅で気軽に新作映画を楽しめるような環境が整うようになっている。映画会社としては、観客を映画館に惹きつけるためには、さらにいっそう魅力的な作品を提供する必要が出てきているわけだが、そこで映画会社が目をつけたのが日本のコンテンツである。
自国製のリメークより焼き直しの感じが少なく新味も出せる日本製
日本の漫画やアニメーション映画、コンピュータゲームは、アメリカでも人気ではあるが、まだまだコアな存在であり、アメリカ人観客の大半はオリジナル版についてほとんど知らない。それゆえ、過去のアメリカ映画のリメイクや自国製アニメーション映画の実写化などに比べると、焼き直しの感は少なく、新味を持たせることができる。
前述した作品の中で唯一の例外は「ゴジラキング・オブ・モンスターズ」だろう。1954年に東宝の怪獣映画の主役として誕生したゴジラは、日本では32本もの映画で〝主演〞しているのに加え、ハリウッドでも1998年に「GODZILLA」、2014年に「GODZILLA ゴジラ」がそれぞれ製作されている。それゆえ、物珍しさが無い一方で、長年に渡り、観客を動員してきた実績がある。
「リング」や「呪怨」などの和製ホラー作品や「イルマーレ」、「オールド・ボーイ」といった韓国映画のハリウッド・リメイク作品を製作してきたロイ・リーは、リメイクの企画を考える際は、まず各国の興行成績トップ10リストに載った作品から検討するそうである。リーは、大きな興行収入を挙げた作品ならば世界共通のアピール力があるはずだというセオリーを持ち、さらに「どの国の観客も、上質に仕上がっているなら、自国で製作されたリメイクを好むものである」と、リメイクの意義を語っている。
ハリウッドによる日本製コンテンツを映画化するにあたっては、「ゴースト・イン・ザ・シェル」のホワイトウォッシング(白人以外の役柄を白人俳優が演じること)などの問題が起きる事も多々あったりするが、成功の鍵は、元のコンテンツが持つコアな部分やメッセージを、文化や言語のバリアを超えて伝えていく事にありそう。
前述した待機作のうち、「AKIRA」は「マイティ・ソー バトルロイヤル」のタイカ・ワイティティ、「進撃の巨人」は「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」のアンディ・ムスキエティ、そして「君の名は。」は「(500)日のサマー」のマーク・ウェブと、それぞれヒット作を生み出した実績のある監督が手がける事になっているゆえ、丁寧な製作を期待したい。