アリ・アスターらと継続的な共同作業を続けるA24
A24の設立は2012年8月なので、今年10年目を迎える若い会社だ。当初は配給専門だったが、後に製作も手がけるようになった。初めからコメディ、青春映画、ドラマ、SFと各ジャンルの作品を送り出してきたのでホラー映画の占める割合は大きくはないが、『複製された男』(ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督/2013)、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(スカーレット・ヨハンソン主演/2013)のようなホラー・テイストの強い作品もあった。
最初にA24のホラーとして注目されたのは『ウィッチ』(ロバート・エガースの監督デビュー作/2015)。エガースはこの後も『ライトハウス』(2019)でA24と組んでいる。『ヘレディタリー/継承』(2018)で衝撃的なデビューを飾ったアリ・アスター監督も次作『ミッドサマー』(2019)もA24で撮っており、ブラムハウスと同様、発掘した新たな才能との継続的な共同作業はA24の方針でもあるようだ。
他にもA24のホラー/スリラー作品としては『グリーンルーム』『ザ・モンスター』(共に2016)、『フェブラリィ 消えた少女の行方』(ルーシー・ボイントン主演/2017)、『イット・カムズ・アット・ナイト』(トレイ・エドワード・シュルツ監督/2017)などがある。
賞関係では『ルーム』(2015)でアカデミー主演女優賞(ブリー・ラーソン)、『ムーンライト』(2016)でアカデミー作品賞を受賞するなど、すでに作品のクオリティでは定評あるインディーズ系スタジオがA24なのだ。
アリ・アスター監督は『へレディタリー/継承』(2018)『ミッドサマー』(2019)を連打
ロバート・エガース監督は『ウィッチ』(2015)『ライトハウス』(2019)で注目される
A24がこの秋贈る話題のホラー最新作『LAMB/ラム』とは?
昨年のカンヌ国際映画祭、ある視点部門で「オリジナル視点賞」を受賞して一躍注目されたA24が北米配給を担当する謎めいたアイスランド製ホラー『LAMB/ラム』(クロックワークス配給)がこの秋、ようやく日本上陸する。
山間に住む羊飼いの夫婦イングヴァルとマリアが、ある日、羊の出産に立ち会うが、羊ではない何かが産まれてくる。子供を亡くしていた二人は、その“何か”に"アダ"という名前を付け、まるで人間のように育てることにする。"アダ"との家族生活は二人に大きな幸せをもたらすのだが、やがて彼らは破滅へと向かい始める……
監督を務めたのはあのタル・ベーラ監督が指揮するフィルムファクトリー出身の新鋭ヴァルディミール・ヨハンソン。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)で特殊効果を担当した経験も持つ異色の作家で、すでに公開された欧米などでの評価はその確立された特異性を賞賛している。主演のノオミ・ラパスの演技も絶賛されており、単なるホラーではないことを想像させる期待の一本だ。
LAMB/ラム
2022年9月23日(金)公開
監督: ヴァルディミール・ヨハンソン
出演:ノオミ・ラパス、ヒルミル・スナイル・グズナソン
©︎ 2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJAGRAWON-JAKSIK, HELGI JÓHANNSSON
Photos by Getty Images