17歳から18歳という子どもと大人のはざまに差し掛かった3人の少女が〈こうあるべき自分〉を思い描き、つまずき、ぶつかり、失敗しながらも誰かと寄り添い、自由を獲得する方法を学んでいく。映画『ガール・ピクチャー』は若い世代の感覚を反映させ、ヘテロセクシュアル(異性愛)やシスジェンダー(割り当てられた性別と性自認が一致している人)を前提とせず、それぞれに異なる恋愛指向があることを当たり前として物語が進む時代を反映した青春映画です。脚本開発にも関わったアッリ・ハーパサロ監督に作品の核となる思いについて語っていただきました。(取材・文/ほりきみき)
まさに自分が手掛けたい作品に出会えた
──監督オファーを受けたときのお気持ちからお聞かせください。
監督のオファーをされたときはまだ脚本ができておらず、脚本家のイロナ・アハティとダニエラ・ハクリネンの2人が書いたプロットを渡されました。それを読むと10代の若い女の子たちの描き方がとても新鮮で、これまでになかった物語を書こうといているのがわかったのです。
前作の『Love and Fury』は大掛かりな作品で、一人一人のキャラクターを描き切れなかったという思いがあったので、次の作品では規模としては小さくても、登場人物にフォーカスし、人間の感情の機微をしっかり描きたいと考えていました。ですから、まさに自分が手掛けたい作品に出会えた気がしてうれしかったです。

アッリ・ハーパサロ監督(右端)
──それでは脚本開発にも関わられたのでしょうか。
執筆はイロナとダニエラが行いましたが、脚本会議には参加し、“10代の少女たちを描くにあたって、どういう話にするのがいいのか”、“思春期独特の気持ちの揺れ”、“自分たちが10代だった頃はどんなだったか”、“何を覚えているのか”、“何が辛く、何を恥ずかしいと思ったか”といったことについて、みんなで話し合いました。それを基に彼女たちが草稿を書き、私が読んで、思ったことを伝える。するとまた彼女たちが新しい草稿を書いてくる。その繰り返しで、完全な協業ですね。ビジョンを共有しながら、脚本を作っていくことができました。