灰原哀に黒い影が忍び寄る。史上最大の危機にコナンは自らの危険も顧みずに立ち向かう。『名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)』は東京・八丈島近海に建設された海洋施設『パシフィック・ブイ』を舞台にコナンと宿敵・黒ずくめの組織の対決を描きます。メガホンを託されたのは『名探偵コナン ゼロの執行人』(2018)を大ヒットに導いた立川譲監督。キャラクターの心理描写の細やかさに定評のある立川譲監督がいかに灰原哀を描いたのか。劇場版は原作に対してどのような立ち位置にあるのか。作品に対する思いを語っていただきました。(取材・文/ほりきみき)

原作で積み重ねてきた関係性を崩さないように

──『名探偵コナン ゼロの執行人』(2018)に次いで2回目の劇場版コナンへの登板ですが、本作の監督が決まったのは、どんなタイミングだったのでしょうか。

『名探偵コナン ゼロの執行人』を作っているときに次のオファーがあったのですが、タイミングが合わなくてすぐに取り掛かれず、5年ぶりなってしまいました。

──『名探偵コナン ゼロの執行人』は週末動員ランキングが7週連続1位、15週連続TOP10入りという大ヒットを記録し、興収が一気に90億円台に跳ね上がりました。今回、100億円をこえなくてはというプレッシャーはありましたか。

むしろ、初めてコナンに関わった『名探偵コナン ゼロの執行人』の方が「コナンの映画にしなくてはいけない」というプレッシャーがありました。テーマがシリアスですし、内容が大人向け。小学生には難しいのではないかと心配でした。

今回は黒ずくめの組織が登場する、コナンの王道の話ですし、登場するのもメインキャラクターばかり。人数が多いという大変さはありましたが、「コナン映画になるだろうか」という心配はなく、いかにバランスよく見せ、物語としてまとまりのあるものにするかという方向に集中しました。

画像: 黒ずくめの組織の一員・ジン

黒ずくめの組織の一員・ジン

──黒ずくめの組織の話ということはオファーの際には決まっていたのですね。

灰原哀を大きく取り上げて、黒ずくめの組織との対決を描くというところまでで決まっていましたが、脚本やプロットは何もない状態でした。

──ストーリーについては脚本家の櫻井武晴さんやプロデューサーと脚本会議を行って、作っていかれたのでしょうか。

はい、みなさんと一緒に作っていきました。『名探偵コナン ゼロの執行人』のときは脚本の第1稿が上がってきた段階からの参加でしたから、話の筋は大体決まっていましたが、今回は何もない状態からのスタート。プロット打ちの段階でかなり自分の意見も言えましたし、何より『名探偵コナン ゼロの執行人』で一度ご一緒している方々なので、自分の意見が伝えやすかったのがありがたかったですね。一緒に話を作っていくことができたと思います。

──ストーリーにがっつり絡んでくる黒ずくめの組織の話を作ることに難しさはなかったのでしょうか。

キャラクターの言動やメールの文章一つとってもそうですが、原作にフィードバックされるつもりで青山先生に連絡をして、出していい情報と出してはいけない情報を確認しながら作っていました。今回の作品では黒ずくめの組織のメンバー間で内輪の話をしますし、ラムが素顔で登場し、指揮系統のバランスなどは新しい情報も少し出ています。

昔の劇場版はスピンオフ的な内容もあった気もしますが、僕は原作と地続きのつもりでやっています。キャラクター性だけでなく、原作で積み重ねてきた関係性、例えば「このキャラはあのキャラについてこう思っている」といったところは崩さないよう気を付けました。

『名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)』公開中

画像: 劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』予告【2023年4月14日(金)公開】 www.youtube.com

劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』予告【2023年4月14日(金)公開】

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<STORY>
東京・八丈島近海に建設された、世界中の警察が持つ防犯カメラを繋ぐための海洋施設『パシフィック・ブイ』。本格稼働に向けて、ヨーロッパの警察組織・ユーロポールが管轄するネットワークと接続するため、世界各国のエンジニアが集結。そこでは顔認証システムを応用した、とある『新技術』のテストも進められていた―。

一方、園子の招待で八丈島にホエールウォッチングに来ていたコナンたち少年探偵団。するとコナンのもとへ沖矢昴(赤井秀一)から、ユーロポールの職員がドイツでジンに殺害された、という一本の電話が。不穏に思ったコナンは『パシフィック・ブイ』の警備に向かっていた黒田兵衛たち警視庁関係者が乗る警備艇に忍び込み、施設内に潜入。すると、システム稼働に向け着々と準備が進められている施設内で、ひとりの女性エンジニアが黒ずくめの組織に誘拐される事件が発生…!さらに、彼女が持っていた、ある情報を記すUSBが組織の手に渡ってしまう…。

海中で不気味に唸るスクリュー音。そして八丈島に宿泊していた灰原のもとにも、黒い影が忍び寄り…

<STAFF&CAST>
声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、林原めぐみ ほか
原作:青山剛昌「名探偵コナン」(小学館「週刊少年サンデー」連載中)

監督:立川 譲
脚本:櫻井武晴
音楽:菅野祐悟
制作:トムス・エンタテインメント
配給:東宝
© 2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会 

公式サイト:https://www.conan-movie.jp/

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