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【インタビュー】若い俳優たちとの共演で自分の10代のころを思い出しました
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─この作品の脚本を初めて読んだ時の感想はどんなものでしたか。
私は直感で作品選びをするんですが、今思うと温かみや繊細さ、母子の関係、時間の流れ方といったものに自分がハマったんだという感じがします。80年代に戻れることも興奮しました。私が演じたエリザベートは労働者階級出身でもなく特権階級やインテリ層の出身でもないところが面白いと思いました。
─ 80年代はあなたが10代で女優になったばかりのころに重なりますね。
エリザベートが作るちょっとしたミスマッチがかわいい衣装や髪型を通してあの頃に飛び込んでいく感じでした。撮影現場に80年代を思わせるオブジェがたくさんあって、脚本のトーンをつかむのに役立ちました。80年代は自分がキャリアを始めた時代でもあるのですべてがとても感動的でした。
私も女優になることを夢見てなかなか言い出せずにいたのですが、共演者の若い俳優たちの気持ちがよくわかる気がしました。『なまいきシャルロット』に出たからと言って、長い俳優人生が保証されるわけではないのに、そう信じたいがために簡単に途方に暮れてしまうような危険な時期です。若い俳優たちを見ていると、あの頃、毎日現場に行くとき感じていた重みを彼らも感じていることがわかりました。
─エマニュエル・ベアールとの共演はいかがでしたか。
彼女とは『ブッシュ・ド・ノエル』で姉妹を演じて20年ぶりの再共演だったのでうれしかったです。エマニュエルは魅力的で優しくて寛大な人ですから。他にもエリザベートの父親を演じたディディエ・サンドルも私の母(ジェーン・バーキン)の長年の友人で、素敵な方なので共演するのは簡単でした。
─完成した映画を観た感想は?
印象的なのはミカエル(アース監督)に似ていることでした。今まで出会ったことのないような独創的な視線に突き動かされた、驚かされる映画でした。ミカエルの繊細さと判断能力があったおかげで人間の善意に目を向ける作品になったと思います。
80年代パリを舞台にある家族の7年間の繋がりを描き出す感動ドラマ
『午前4時にパリの夜は明ける』
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『アマンダと僕』のミカエル・アース監督が1980年代のパリを舞台に描くある家族の7年の物語。主人公のエリザベート役は『誰のせいでもない』などのシャルロット・ゲンズブールが演じ、キト・レイヨン=リシュテル、ノエ・アビタ、メーガン・ノータムら若手俳優やエマニュエル・ベアールらベテランが彼女を囲んで好演を見せる。
夫と別れたエリザベートは、まだ若い娘ジュディットと息子マチアスを一人で養うことになり、深夜ラジオ番組のアシスタントの仕事に就くことに。そこで彼女は家出少女のタルラと出会い、彼女を我が家に招き入れることを決心。タルラが家族に加わったことから、一家のそれぞれが新たな人生を見つめなおし、一歩ずつ前に進んでいこうとする。
『午前4時にパリの夜は明ける』
フランス/2022/1時間51分/配給:ビターズ・エンド
監督:ミカエル・アース
出演:シャルロット・ゲンズブール、キト・レイヨン=リシュテル、ノエ・アビタ、メーガン・ノータム、エマニュエル・ベアール
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