ひとつの事故を発端に陰謀に巻きこまれ、極限まで追い詰められていく刑事とそれを追う謎の監察官。2人が年の瀬に繰り広げる4日間の攻防を群像劇として描く。岡田准一主演の映画『最後まで行く』は2014年に公開された韓国の同名映画のリメイクです。圧倒的な緊張感とスピード感の中にもクスっと笑ってしまうコミカルさもあるオリジナルの展開に、藤井道人監督が深い人間ドラマも加えました。危機、裏切り、罠、そして最後に待ち構える衝撃のラスト……。邦画史上類を見ない、手に汗握る予測不可能のノンストップエンターテインメントに仕上げた藤井道人監督にお話をうかがいました。(取材・文/ほりきみき)

設定を踏まえつつ、アクション監督を立てて提案する岡田准一

──主人公の工藤祐司を演じた岡田准一さんは監督の希望と聞きました。

工藤を誰にするかという話になったときに、「岡田さんは昨今、芯が太く力強いヒーロー役が多いので、工藤のようなちょっと愚かでキュートな岡田さんを見てみたいです」とプロデューサー陣に伝えたところ、賛同していただき、進んでいったという感じですね。

画像: 工藤祐司(岡田准一)

工藤祐司(岡田准一)

──何かイメージがあったのでしょうか。

僕は1986年生まれですが、僕ら世代には「学校に行こう」(1997~2005)で爛漫に笑っている岡田さんや「木更津キャッツアイ」(2002、2003、2006)のぶっさんの印象が強いのです。ぶっさんはみんなに弄られて「何だよ!」といつも怒っているキレキャラでしたが、そういうときの岡田さんには可愛さがありました。

──初めて岡田さんと顔を合わせたときはいかがでしたか。

テレビで見ていた頃より年齢を重ね、格段に貫禄がありました。さすが、国を背負っている役を演じられる俳優だなと感じましたね。

“今回の作品をなぜ僕がやることになったのか”、“この作品で何を工藤に託したいのか”、“この作品は喜劇な部分もあるけれど、コメディにしたいわけではなく、そこに生きている人たちが必死だから面白いという話にしたい”といったことを伝えました。その間、まばたき1つせず、僕をじっと見つめながら聞いてくれるので、僕のことを全部見透かされそうで緊張しましたが、最後にひとこと(岡田准一の口調で)「わかりました」といわれました。ぱきっとした気持ちのいい先輩です。

画像: 設定を踏まえつつ、アクション監督を立てて提案する岡田准一

──岡田さんから何か提案はありましたか。

脚本に関して岡田さんから何か言われたら全部直すつもりで、すごく緊張しながら「何か気になるところはありますか」とうかがったら、「ないです」とひとこと。書いてあることを大事にしてくださる方でした。

岡田さんは身体的表現も長けています。僕はキャラクターシートに工藤は柔道をやっていたと書いていたので、アクションの稽古をやっているときにはそれを踏まえつつ、アクション監督の意見を立てながら、「工藤がこういう風に動くのはどうだろうか」とか「矢崎は格闘家ではないけれど、凶暴性を出すために利き手だけで殴るというのはどうだろうか」などと提案していただきました。

また、今回、トカゲが映画のモチーフとして出てきますが、トカゲっぽい動きをどこかに入れられないかと撮影中、ずっと考えていらっしゃって、ぺたぺた這いつくばる動きのアクションが生まれたのです。

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