水道料金を滞納する家庭の水を停める業務【=停水執行】に就く、市の水道局職員が心の渇きにもがく中で、育児放棄を受ける幼い姉妹と出会い、ささやかな幸せを求めて本当の自分を取り戻してゆく。映画『渇水』は1990年文學界新人賞受賞、103回芥川賞候補となって注目を浴びた、河林満の同名小説を刊行から30年の時を経て映画化したものです。映画監督・白石和彌が初プロデュースした意欲作で、主人公の岩切を生田斗真が演じています。企画を立ち上げた髙橋正弥監督に映画化のきっかけや作品への思い、生田斗真のキャスティングについて語っていただきました。(取材・文/ほりきみき)

生田斗真の目力に負けない目を持つ山﨑七海

──姉妹を演じた山﨑七海さんと柚穂さんにはどのように演出をされましたか。

非常に勘のいい子たちでした。演出の仕方としてはお母さんと暮らしているシーンまでは台本を読ませましたが、後半は台本を読ませずに、撮影する当日に紙で見せたり、言葉で「今日は前日のあのシーンを受けて、こういうことをして…」と話したりして、その先に何が起きるかはまったく説明しないまま、やってもらいました。それでも僕らが求めていることをすぐに把握し、咀嚼して、いいものとして演じてくれたのです。

画像: (左から)小出恵子(山﨑七海)、小出久美子(柚穂)

(左から)小出恵子(山﨑七海)、小出久美子(柚穂)

──姉の恵子が岩切に向かって大人への不信感を爆発させるシーンの山﨑さんの表情が素晴らしかったです。

生田さんの目に負けない目力を山﨑さんに感じたので、オーディションで選んだのですが、このシーンでは大人に抗い、睨みつける目の表情をしてくれました。この作品におけるキーポイントになったと思います。

──そのシーンでは唇がかさかさと荒れていて、生活に困窮しているのが伝わってきました。

あのシーンではメイクさんにお願いして、肌がかさついているだけでなく、髪もぼさぼさな感じにしてやってもらいました。

──妹の久美子を演じた柚穂さんが雨乞いをする姿はとても可愛らしいですね。

子どもは本来、大人の事情や家庭の事情をわからないまま、いていいはず。久美子はこの作品において、自分のうれしいこと、悲しいことを天真爛漫に体で表現する役割を担っています。柚穂さんは無邪気で一生懸命なところが久美子のイメージ通りだったので、「自分の思ったようにやっていいよと言って、演じてもらいました。

『渇水』2023年6月2日(金)全国公開

画像: 映画『渇水』60秒本予告【6月2日(金)公開】 www.youtube.com

映画『渇水』60秒本予告【6月2日(金)公開】

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<STORY>
日照り続きの夏、市内には給水制限が発令されていた。市の水道局に勤める岩切俊作(生田斗真)の業務は、水道料金滞納家庭や店舗を回り、料金徴収と、水道を停止すること【=停水執行】。貧しい家庭を訪問しては忌み嫌われる日々であった。俊作には妻と子供がいるが別居中で、そんな生活も長く続き、心の渇きが強くなっていた。ある日、停水執行中に育児放棄を受けている幼い姉妹と出会う。自分の子供と重ね合わせてしまう俊作。彼は自分の心の渇きを潤すように、その姉妹に救いの手を差し伸べる―

『渇水』
原作:河林満「渇水」(角川文庫刊)
監督:髙橋正弥
脚本:及川章太郎
音楽:向井秀徳
企画プロデュース:白石和彌
出演:生田斗真、門脇麦、磯村勇斗、山﨑七海、柚穂/宮藤官九郎/宮世琉弥、吉澤健、池田成志、篠原篤、柴田理恵、森下能幸、田中要次、大鶴義丹/尾野真千子
配給:KADOKAWA
2023/日本/カラー/ヨーロピアンビスタ/100分
©「渇水」製作委員会
公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/kassui/
2023年6月2日(金)全国公開
※山崎七海の崎は立つ崎(たつさき)が正式表記
※高橋正弥の高は、はしごだかが正式表記

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