親友と同じ中学に進学した少年が親密さをクラスメイトから揶揄われ、親友と距離を置いてしまう。そんな思春期ならではの行動が引き金となって悲劇が起きる。映画『CLOSE/クロース』は前作『Girl/ガール』で第71回カンヌ国際映画祭カメラドールを受賞し、鮮烈なデビューを飾ったルーカス・ドン監督の長編2作目。監督自身がかつて抱いた葛藤や不安な想いを瑞々しく繊細に描いている。ジャパンプレミアを機に来日したルーカス・ドン監督に作品に対する思いを語ってもらった。(取材・文/ほりきみき)

感じたままに演じてもらうことが大事

──レオを演じたエデン・ダンブリン、レミを演じたグスタフ・ドゥ・ワエルは映画初出演とのことですが、キャスティングの決め手を教えてください。

「エデンは電車の中で見つけました。友だちとお喋りしている様子を何気なく見ていたら、鋭い表現力が感じられ、豊かな資質を持っていることがわかったのです。思い切って彼に話しかけて、オーディションを受けるよう誘いました。すると彼は『Girl/ガール』で主役を演じたビクター・ポルスターと同じダンススクールに通っていたので、私を知っていたのです。

画像: レオ(エデン・エンブリン)

レオ(エデン・エンブリン)

キャスティングの過程でたくさんの子どもたちに会い、その中から40人を選んで、ペアになってオーディションを受けてもらいました。

画像: レミ(グスタフ・ドゥ・ワエル)

レミ(グスタフ・ドゥ・ワエル)

感情を没入させるシーンのペアワークをしたとき2人はすぐにそこから抜け出し、子どもとは思えない成熟ぶりを見せました。ほかにも才能を見せてくれたペアはありましたが、彼らはそれに勝る何か特別なものを持っているのを感じたのです。

しかも、最後に出してもらったアンケートに『世界でいちばん好きな人』という質問があったのですが、エデンはグスタフの名前を書き、グスタフはエデンの名前を書いていました。もちろんそんなことはないので、お互いの名前を記入すれば、私たちに印象を残すことができると気がついたのだと思います。その聡さに驚きました」

─エデンとグスタフとはどのように役作りをしましたか。

「台詞を一語一句間違えずに言うよりも、物語がどう展開し、演じる役にどんなことが起きるのかを知った上で、感じたままに演じることが大事だと思っています。そうすることで、初めて生き生きとした作品になるのです。ですから、脚本を読むのは一度だけ。現場では役になったつもりで過ごしてもらい、ふっと『なぜレオはそこでレミを待たないんだろう?』と尋ねたりしました。こちらからは答えを言いません。役を自分の中に落とし込んでほしいのです。もちろん、難しいシーンの場合はサポートしますけれどね。

私も彼らのことをよく知るように努めました。エデンは悲しいときにトム・オデールを聴くことを知り、感傷的な場面では『トム・オデールの曲を聴く?』と聞き、『聴きたい』と言われれば、トム・オデールの曲を掛け、エデンがレオの感情に入っていきやすいようにサポートしました」

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