※映画の詳細に触れている箇所がありますので未見の方はご注意ください。
トリビア1:「ミッション:インポッシブル」史上最高記録を次々更新
本作の製作費は2億9100万ドル(約400億円)。これは「ミッション:インポッシブル」史上最も高額な作品となり、トム・クルーズのキャリアの中でも最も高額な作品となった。
また本作の上映時間(尺)の163分(2時間43分)も「ミッション:インポッシブル」史上最長記録。前作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)の147分(2時間27分)をさらに上回った。
そして7月12日よりアメリカを含めて世界各国で公開された本作は、全世界で1億5500万ドルを稼ぎ、「ミッション:インポッシブル」史上最大のオープニング成績という大ヒットスタートを記録。
7月21日より公開された日本でも、公開から3日間の興収が10億円を突破。さらにこの8月には累計興行収入45.4億円を突破し、2023年公開の実写映画興行収入No.1の座へと躍り出た。
トリビア2:クランクイン初日に撮影されたシーンとは?
本作の最大の見せ場の一つが“トム・クルーズ史上最も危険なスタント”ともいわれる断崖絶壁のバイクジャンプシーン。このシーンはなんとクランクイン初日に撮影されていた。
なぜ初日にこれほど危険な撮影を敢行したかといえば、このシーンで事故が起きてしまった場合に備えてのこと。トムにもしものことがあった場合、製作が中断されるか、ストーリーの変更を余儀なくされるかもしれず、万が一の事態になっても極力支障がないようにあえて初日に撮影を行ったという。
これはトムがスタントシーンで骨折したため一時撮影が中断された前作の経験を踏まえてのことかもしれない。
トムはこのバイクジャンプシーンの撮影について「あれがターニングポイントでした。あれが今回の映画の基準になったんです。もう引き下がれない、後戻りはできないと私たち全員が認識するためのものでした」と振り返っている。
トリビア3:「ミッション:インポッシブル」1作目へのオマージュ
本作にはこれまでのシリーズへのオマージュやイースターエッグ(隠れた要素や小ネタ)が様々な形で表れている。特に本作に強い影響を与えているのはシリーズ一作目の『ミッション:インポッシブル』(1996)だ。
主人公イーサン・ハント(トム・クルーズ)が走る列車の上で最後の決戦を繰り広げるのは一作目とまったく同じ展開。そして“橋の上で重要人物が死んでしまう”のも一作目と同じ。
その死の瞬間にイーサンが駆けつけるも間に合わないという点も一作目を踏襲している。一作目ではその死は偽装されたものだったわけだが…。
さらにイーサンが手品のようにカギを出したり消したりしてみせる場面も一作目を思い起こさせる。イーサンがジャン・レノ演じるクリーガーを騙すため、MOディスクを同じように扱ったシーンがあった。
ほかにも一作目以来の再登場となるキトリッジや、一作目に登場した武器商人マックス(ホワイト・ウィドウの母親)への言及など、本作には一作目へのリスペクトがあふれている。
トリビア4:悪役にはニコラス・ホルトがキャスティングされていた
本作の悪役にはもともと「X-MEN」シリーズや『ザ・メニュー』(2022)などのニコラス・ホルトがキャスティングされていた。
『トップガン マーヴェリック』(2022)のスクリーンテストを受けたホルトはトム・クルーズの絶賛を受け、『トップガン マーヴェリック』ではなく本作への出演を打診された。
これを快諾していたものの、新型コロナウイルスの影響で制作の遅れが生じたため撮影スケジュールが合わなくなり、出演を断念せざるをえなかったという。
代わりに悪役ガブリエルに抜擢されたのはイーサイ・モラレス(60歳)。33歳のホルトとは年齢のギャップがあるが、これによりイーサン(トム)と悪役の年齢差がなくなり、“イーサンの過去の因縁を描く”というアイデアが生まれることになった。
またそれが発展し「AI」というタイムリーな“もう一人の悪役”を生むことに。悪役の交代劇がなければストーリーは今のような形にはなっていなかったかもしれない。
トリビア5:オリジナル版「スパイ大作戦」と同じ役名
イーサンを追跡する諜報員コンビの一人、ブリッグス(演じるのはシェー・ウィガム)の名前に注目。これは、オリジナル版のTVドラマ「スパイ大作戦」の初代IMFリーダーであるダン・ブリッグスと同じ名前なのだ。
単なるイースターエッグとも取れるが、ファンの間では裏設定のようなものがあるのではないかという憶測も。海外メディアのインタビューでこれについて聞かれたウィガムは「今は何も言わない方がいいね」と意味深に語っている。
この隠れた素性は次回作『~PART TWO』で掘り下げられるかもしれない。
もう一人、「スパイ大作戦」のキャラクターにちなんだ名前になっているのは、ポム・クレメンティエフ演じるパリス。
「スタートレック」のスポック役で有名なレナード・ニモイが「スパイ大作戦」(第4シーズン以降)で演じたキャラクターが奇術師の“パリス”だった。これは意図的なオマージュであることをポム本人がインタビューで明かしている。
トリビア6:ジュリア・ロバーツが出演予定だった!?
イーサンの過去が描かれる回想シーンでは、マリーというミステリアスな女性(マリエラ・ガリガが演じる)が登場。クリストファー・マッカリー監督によれば、なんとこのマリーをジュリア・ロバーツが演じるという案が検討されていたという。
IMFに加入する前のイーサンの過去を描くシーンのため、トムとジュリアをデジタル・ディエイジング(若返り技術)を駆使して登場させるというアイデアだったようだが、実際にはそのために高額の費用がかかってしまうのと、観客の意識がストーリーから離れてしまうという懸念から断念したという。
なぜジュリアが候補になったかというと、過去のシーンが1989年という設定で、当時ちょうどジュリアが『ミスティック・ピザ』(1988)でブレークしていた頃だったからだという。
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公開中
監督: クリストファー・マッカリー
出演: トム・クルーズ、ヘイリー・アトウェル、ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ヴァネッサ・カービー、イーサイ・モラレス、ポム・クレメンティエフ、ヘンリー・ツェーニー
配給: 東和ピクチャーズ
©2023 PARAMOUNT PICTURES.