正反対な性格の萱島と宇和島という2人の男性が車の事故をきっかけに人里離れた森の奥深くに迷い込み、その森に暮らす美しくも奇妙な6人の女たちに監禁され、翻弄されていく。竹野内豊と山田孝之が主演する『唄う六人の女』で監督を務めたのは石橋義正氏。異例のマネキン主演ドラマ「オー!マイキー」(2002)や山田孝之の七変化が話題を呼んだ「ミロクローゼ」(2012)など独特の世界観を持ち、インスタレーションや映像作品など幅広いジャンルで世界をフィールドに活躍している。日本の原風景を切り取った映像美で作品を作り上げた石橋監督に、テーマやキャストについて語ってもらった。(取材・文/ほりきみき)

芦生の森に対する監督の思いを竹野内豊が芝居に反映

──萱島森一郎を竹野内豊さんにお願いしたのはどうしてでしょうか。

シリアスだけれど笑ってしまうような、竹野内さんが持っている独特のユーモア性が宇和島との対比ですごく面白くなるのではないかと考えました。今となっては竹野内さん以外考えられません。

竹野内さんが私の過去の作品に興味を持ってくださっていたので、台本をまだ練っている段階でオファーしました。竹野内さんとは何度も話をしましたが、萱島のキャラクターだけでなく、私が芦生の森に対して持っている思いを理解し、お芝居に反映してくださいました。本当に感謝しています。

画像1: 芦生の森に対する監督の思いを竹野内豊が芝居に反映

──萱島の感情の変化を竹野内さんが繊細に演じていました。

感情が変化していくところの難しさだけでなく、父親が撮った写真の場所を見つけた瞬間はとてもいろいろな情報が一気に萱島の中に入ってきて、すべての自然のこと、自然界における人間の役割、自分と父親の関係を全部理解したことをセリフなしで体現しないといけませんから、すごく難しかったと思います。竹野内さんはそれを見事に演じ切ってくださいました。

──裏表があり粗野な開発業者の宇和島凌を山田孝之さんが演じています。山田さんは前作『ミロクローゼ』でも主演を務めていらっしゃいますね。

『ミロクローゼ』のときから役者として信頼を置いていますが、今回はファンタジーの世界にリアリティを持たせる重厚な演技をしてくれることを期待してお願いしました。自分をかなり悪者にしなければいけませんから、演じるのはとてもきつかったと思います。しかし、山田さんがもたらしたリアリティによって萱島と宇和島の対比がしっかりできましたし、女たちとの対比も明確になりました。

画像2: 芦生の森に対する監督の思いを竹野内豊が芝居に反映

──監督から事前に何か伝えましたか。

特に話していません。ほとんど山田さんが考えて演じてくれました。むしろ山田さんを見て、「なるほど、こう考えてこう動いているんだな」と思って見ていました。

それをいちばん感じたのは山田さんのラストシーンです。彼のイメージがストレートに伝わってきました。

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