ロースクールで学んでいた3人が卒業後、弁護士、容疑者、死者として向き合うことで隠されていた真実が浮かび上がってくる。映画『法廷遊戯』は五十嵐律人が第62回メフィスト賞を受賞した同名小説の映画化だ。主人公の「セイギ」こと弁護士・久我清義(きよよし)役を永瀬廉、セイギの幼馴染でロースクールの同級生である織本美鈴役を杉咲花、在学中に司法試験に受かり、卒業後も大学に残り司法を研究する天才、結城馨役を北村匠海が演じる。メガホンをとった深川栄洋監督に取材を敢行。脚本開発の苦労やキャストへの演出について語ってもらった。(取材・文/ほりきみき)

コミュニケーション能力が非常に高い永瀬廉

──永瀬廉さんとは今回が初めてですね。

映画では衣装合わせが初対面ということが多いのですが、今回は3人には先に会いたいと伝えて、撮影の2カ月くらい前に永瀬くん、北村くん、杉咲さんに会いました。

画像: コミュニケーション能力が非常に高い永瀬廉

永瀬くんは映画「真夜中の乙女戦争」(2022)で、陰影でいうと影を感じさせる演技をされていたので、落ち着いた静かな方なのかなという印象を持っていました。ところが初めて会った日は大きな声で「おはようございます!」と挨拶しながら部屋に入ってきて、何でも聞いてくるし、何でも話してくれる。コミュニケーション能力が非常に高い。明るくフランクで面白い子だなとイメージが覆されました。

僕は映画を作っている中で感じていることや考えていることを感覚的な言葉で話すので、理解しにくいと思います。永瀬くんはその言葉の裏に何があるのか、どうしてその言葉を使っているのかということも考えて、理解し、芝居に転じていくことができる。クレバーで勇気のある方だと感じました。

──具体的にはどのような話をされましたか。

「台本にはこう書いてありますが、実際に動いてみると動きが生理的に合わないのですが、大丈夫でしょうか」、「相手役の杉咲さんの演技を見ているとこういう感情が出てくるのですが、それをしてしまっていいのでしょうか」といったことですね。

例えば、クライマックスに向かっていく中で杉咲さんの演じる美鈴が壊れてしまうシーンのテストをしたところ、「その瞬間、涙が出そうになるのですが、出してもいいですか」と聞かれました。

心の揺れは最大限、お客さんと共有したい。お客さんが「清義は泣いてしまうのではないか。その後はどうするんだろう」と思って見てもらえるように、言葉や声に震えや感情みたいなものが揺れとして出てしまうのは構わない。むしろ涙が出そうになるところまでは持っていきたい。しかし、泣いてしまうと自分の決断が揺らいだように見えてしまう。

「涙は流さないでほしい」と伝えました。相手から受ける自分の揺れや感情、こうしたいという感覚を永瀬くんとシーンごとに確かめながらやっていったのです。

──とても細やかなお芝居を求めたのですね。

永瀬くんを9割以上見続けていくドラマの中では、清義の細かな変化がお客さんの意識誘導に繋がります。涙を堪えるけれど、堪えているように見えないという目盛りの細かい芝居をやってもらいました。かなり難しかったと思います。

──監督からはどのように演出されたのでしょうか。

人は不安になると今までに自分が身につけてきたものを見せていきがちです。初めに「僕が求めるものは今までのものではなく、これから2人で作っていくものの中にしかないから」という話をしました。

そのうえで“この瞬間は息を乱していく”など、お客さんに何かを感じてもらうための圧みたいなものを考えてほしいと伝えたのです。テストで芝居を見せてもらい、「今の芝居だったら、僕はこういう風に思うということを頭の隅に置いて、ちょっとやってみて」と話をすると、今まで身につけたものを忘れて、僕を信じて自分を解放することに集中してくれました。

これまでにも若い俳優の方と仕事をしてきましたが、こんなに早く自分を解放することができた人はいませんでした。

──新しい永瀬さんをファンの方に見てもらえるわけですね。

永瀬くんの仕事をすべて見ているわけではないので、これまでの何かに似ているという瞬間はあるかもしれませんが、僕たちの挑戦は2人で貫徹できたと思っています。

『法廷遊戯』全国公開中

画像: 映画『法廷遊戯』超予告(11.10公開) youtu.be

映画『法廷遊戯』超予告(11.10公開)

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<STORY>
清義(永瀬廉)、美鈴(杉咲花)、馨(北村匠海)の3人は名門・法都大学のロースクールの同級生。彼らのクラスでは、「無辜(むこ)ゲーム」と呼ばれる模擬裁判が日々繰り広げられていた。このゲームは在学中に司法試験に合格した学校イチの秀才である馨が主宰者で、クラスで起こった事件の罪を申し立てたい生徒が原告になる。残りのクラスメイトたちも参加者として集まって開かれていた。

ある日、清義が16歳のときに殺人未遂の疑いで逮捕され過去を暴く内容のビラがクラスに撒かれた。清義は告発者へ異議を申し立てるため、幼馴染であり現場近くに座っていた美鈴を弁護人に指名し、「無辜ゲーム」を申請した。

やがてロースクール卒業し、清義は弁護士に、馨は大学に残って法学の研究者と別々の道を歩んでいた。久しぶりに「無辜ゲーム」を開くと馨に呼び出された清義が会場にしていた学校の裏の洞窟に向かうと、そこには馨の死体の隣でナイフを手に放心する美鈴がいた。美鈴は清義に「お願い、私を弁護して」と話し、その後は一切口を聞かなくなってしまった。ただの模擬裁判だったはずの「無辜ゲーム」に隠されていた衝撃の事実とは…。

<STAFF&CAST>
監督:深川栄洋
原作:五十嵐律人『法廷遊戯』(講談社刊)
脚本:松田沙也
主題歌:King & Prince「愛し生きること」(UNIVERSAL MUSIC)
出演:永瀬廉(King & Prince)、杉咲花、北村匠海
戸塚純貴、黒沢あすか、倉野章子、やべけんじ、タモト清嵐
柄本明、生瀬勝久、筒井道隆、大森南朋

配給:東映
©五十嵐律人/講談社 ©2023「法廷遊戯」製作委員会

公式サイト:https://houteiyugi-movie.jp/

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