SNSを中心に話題になり、累計発行部数90万部を突破した汐見夏衛によるベストセラー小説を映画化した『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』。現代の女子高生・百合が目を覚ますと、1945年の戦時中の日本だった。そこで特攻隊員の青年・彰や食堂の女将らと出会い、彼らと日々を過ごす中で成長していく姿を描いた本作。主人公の百合を演じた福原遥と彰を演じた水上恒司に撮影秘話や本作への思いを語ってもらった。(インタビュアー・文/奥村百恵 撮影/久保田司)

二人がかき氷を食べる印象的なシーン

画像1: 二人がかき氷を食べる印象的なシーン

ーー原作もチェックしてみたいと思います。ところで、成田洋一監督の演出はいかがでしたか?

水上「クランクインする前に、監督と福原さんと3人でたくさんディスカッションしたのですが、お互いの意見を尊重しながら丁寧に確認作業ができたのはすごく良かったです。

基本的に映像作品は監督のものだと思っていて、監督が思うイメージをなるべく具現化しようと努力するのですが、成田監督はこちらの意見を聞きながら一緒に作り上げることを大切にされる方だったので、現場でも『このシーンはこうした方がいいんじゃないか』と意見交換をしながら撮影していました」

福原「私はこれまでいろんな作品を経験した中で一番ディスカッションを重ねたなと思うぐらい、水上さんと監督と話し合ったのですが、その経験は百合を演じる上ですごく支えになりました。スタッフさんも含めて、みんなで同じ方向を向いて作品作りをしている感覚があったので、安心してお芝居できる現場でしたね」

ーー個人的に強く印象に残ったのが、百合と彰がかき氷を食べるシーンでした。

水上「わかります!」

福原「かき氷を食べるシーンいいですよね!」

画像2: 二人がかき氷を食べる印象的なシーン

ーーとても幸せそうな二人ですが、あと少ししたら離れなければいけないので、観ていてとても切なくなりました。

水上「百合はかき氷を食べて『美味しい』と言うのですが、冷静に考えたら現代でシロップがかかったかき氷を食べているからあの時代のかき氷が美味しいわけがないんですよね。もっと言えばフワフワのかき氷やアイスが乗っているものもあるじゃないですか。あれには敵わないですよ(笑)。

だから、もしかしたら彰に気を遣ったんじゃないかなって。でも彰は『美味しい』と嬉しそうな顔をする百合を見て、“もっと生きたい”と思ったはずで、本当に切ないシーンですよね」

ーー資料を拝見すると、当時は砂糖をそのままふりかけたものと、砂糖水をかけたものの2種類あったそうですが、撮影で食べたかき氷はどんな味でしたか?

福原「砂糖水をかけた「みぞれ」のかき氷だったのですが、美味しかったです」

水上「カットがかかったあともずっと食べてたよね?」

福原「食べてました(笑)。本作の中で唯一と言っていいほど幸せなシーンなので、切なく思いながらも“とにかく楽しもう”という気持ちで撮影に挑んだんですね。それで、本番でかき氷を食べたら本当に美味しく感じられたので、きっと百合も同じだったんじゃないかなと思います」

水上「確かにメロンやいちごシロップのかき氷の味を知っているのに美味しいと感じられるほど、百合にとって幸せな瞬間だったんだろうね。

でも罪作りだなと思ったのは、百合がかき氷を食べるたびに彰のことを思い出してしまうということ。そういうつもりじゃなかったかもしれませんが、そこはちょっと彰の欠点なのかなと。でもその欠点が彼の魅力でもあるなと思います」

福原「かき氷のシーンのように、現代に生きる人たちにも共感できるところがたくさんあると思うので、ぜひ劇場で観ていただきたいです」

画像3: 二人がかき氷を食べる印象的なシーン

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