中学で合唱部の部長を務める岡聡実はある日、ヤクザの若頭補佐・成田狂児からカラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。組のカラオケ大会で最下位になることを避けるためだという。嫌々引き受けた聡実だったが、次第に2人の間には奇妙な絆が育まれていく。映画『カラオケ行こ!』は和山やまの同名人気コミックを綾野剛主演で実写化したハートウォーミングな作品である。メガホンを取った山下敦弘監督に綾野剛といかにして作品を作っていったのかを聞いた。(取材・文/ほりきみき)

映画全体のことを考えてくれる綾野剛

──狂児を演じた綾野さんについて、どう思われましたか。

先程もお話ししましたが、主人公は聡実で、狂児は相手役。狂児が少しずつ聡実くんに影響を与えていって、最終的に聡実くんが変化を起こすという作品ですから、狂児は聡実から見た姿でしかありません。

画像1: 映画全体のことを考えてくれる綾野剛

綾野くんは今回、いい意味でやり過ぎていないというか、すごく抑制してくれている感じがしました。たまにアドリブを言ってきたりしますが、狂児は絶対に聡実よりも前に出ない。綾野くんは常にそれを考えていてくれた気がします。

綾野くんはこれまで、攻めた役やストイックな役、キレのある役といったエッジの効いた役が多かったと思いますが、今回はそうではなく、これまでの綾野くんとは違う、新しい魅力を見せてくれました。

──齋藤さんはいかがでしたか。

撮影の途中で不安そうなときがあったので、相談に乗ったりしましたが、次第に解消したようです。段々自信がついてきて、最後までしっかりやり切ってくれました。やっぱり器がでかいですね。

画像2: 映画全体のことを考えてくれる綾野剛

撮影当時、本当に15歳だったことが今回はプラスになっている気がします。高校生ほど大人じゃないし、子どもというには大人に近い。狭間な感じが聡実と同じでした。今は高校1年生だから、もう大人っぽいですよ。この作品をいいときに撮れて、本当に良かったと思います。

──綾野さんも齋藤さんもカラオケで歌いますが、どのように演出されましたか。

綾野くんは歌が上手いので、どう崩して、狂児の癖のある「紅」にするのか、事前に作っていけたのですが、聡実くんの最後の魂がこもった「紅」は技術だけのことではないので、合唱部の部長としての見え方も含めて、とにかくボイストレーニングに通ってもらいました。

ただ、正直、俺も何を目指してもらえばいいのか、答えがわからない。とにかく最後まで出し切ってもらいました。

──音のある実写の難しさですね。

そうなんですよ。マンガは文字で書けばいいけれど、こちらは本当に歌ってもらわなくてはいけません。俺にとってもプレッシャーでしたが、映画の醍醐味でもありました。

──“綾野剛の俳優としての魅力”を監督はどのようにとらえましたか。

今回は齋藤くんという新人が主人公を演じる作品なので、そこに対して綾野くんと相談し合ったりしながら、肩を組んで二人三脚のように作っていきました。撮っていてすごく楽しかったですし、今までやってきた俳優さんとも違う感じがありました。

綾野くんは自分の芝居だけでなくて、この作品がどうなっていくことがいちばんいいのか、映画全体のことを考えてくれる。監督としては強い味方のような存在です。

──これから作品をご覧になる方にむけてひとことお願いします。

原作を映画にする上で一番いいチームで作りました。僕の作品というよりもチームで作った作品です。大きなスクリーンで見るべき作品として映画化できたので、原作ファンの方はもちろんですが、ぜひ多くの方に劇場でご覧いただければと思います。

<PROFILE>
監督:山下敦弘

1976年生まれ、愛知県出身。大阪芸術大学卒。『どんてん生活』(99)、『ばかのハコ船』(03)、『リアリズムの宿』(04)と“ダメ男三部作”をとっかかりに05年『リンダ リンダ リンダ』で商業映画デビュー、ヒット作となる。続く『天然コケッコー』(07)では第32回報知映画賞監督賞、第62回毎日映画コンクール日本映画優秀賞などを受賞。その他、映画作品に『マイ・バック・ページ』(11)、『苦役列車』(12)、『もらとりあむタマ子』(13)、『味園ユニバース』(15)、『オーバー・フェンス』(16)等があり、その後も野木亜紀子脚本の連続ドラマ「コタキ兄弟と四苦八苦」(20)、Amazon スタジオによるモダンラブ・東京「最悪なデートが最高になったわけ」(22)、宮藤官九郎脚本による『1秒先の彼』(23)など話題作が続いている。アニメーション映画『化け猫あんずちゃん』(共同監督・久野遥子)含め公開待機作が3本。

『カラオケ行こ!』2024年1月12日(金)公開

画像: 映画『カラオケ行こ!』本予告(90秒)【2024年1月12日(金)公開】 youtu.be

映画『カラオケ行こ!』本予告(90秒)【2024年1月12日(金)公開】

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<STORY>
合唱部部長の岡聡実(齋藤 潤)はヤクザの成田狂児(綾野 剛)に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける“恐怖のイレズミ(※超下手)”を回避するため、何が何でも上達しなければならないというのだ。狂児の勝負曲は X JAPAN の「紅」。聡実は、狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしかふたりの関係には変化が…。聡実の運命や如何に? そして狂児は最下位を免れることができるのか!?

<STAFF&CAST>
原作:和山やま(ビームコミックス/KADOKAWA 刊)
監督:山下敦弘
脚本:野木亜紀子
出演:綾野 剛、齋藤 潤、芳根京子、橋本じゅん、やべきょうすけ、吉永秀平、チャンス大城、RED RICE(湘南乃風)、八木美樹、後 聖人、井澤 徹、岡部ひろき、米村亮太朗、坂井真紀、宮崎吐夢、ヒコロヒー / 加藤雅也(友情出演)、北村一輝
配給:KADOKAWA
©2024『カラオケ行こ!』製作委員会
公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/karaokeiko/

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