ベストセラー作家となった男が最愛の人を蔑ろにした翌朝、彼女と出会っておらず、しかも、ふたりの立場が逆転した〈もう一つの世界〉に放り出されてしまう。『知らないカノジョ』は中島健人が主演を務め、映画初出演のシンガーソングライターのmiletと共演したファンタジックラブストーリーである。公開を前に三木孝浩監督にインタビューを敢行。キャストとの役作りや演出、ロケーション選びなどについて語ってもらった。(取材・文/ほりきみき)

ロケーション選びはファンタジックなムードを意識して


──本編冒頭の大学の新歓シーンは満開の桜が明るく楽しい雰囲気を醸し出していました。ロケーション選びでは何を大事にされましたか。

この作品ではアンティークな感じや、80~90年代のハリウッドラブストーリーの空気感を出したいと思ったので、ロケーションから醸し出る雰囲気が重要でした。リアルな日本の大学というよりもちょっとファンタジックなムードを意識してロケーションを選びました。


──夜のレストランやミナミが路上ライブしていたところも素敵でした。

レストランはこの作品でいちばん大事にしたかったシーンでした。

元々はテラスで撮るつもりでした。ところが、撮影当日、かなり雨が降ってテラスで撮れなくなってしまったのです。スタッフのみなさんと相談して、急遽、レストランの中で撮りましたが、外のライティングがいい感じのボヤケになって、むしろうまくいったと思っています。怪我の功名でしたね。

ライブをしていたのはみなとみらいにある象の鼻パークです。あそこは僕が好きなところで、MV撮影でも行ったことがあるんです。あそこから見える夜景は本当に雰囲気がよくて。

ほかにも点描シーンで2人が横断歩道を駆けるカットは日本大通りの並木道ですが、あそこもお気に入りの場所です。

横浜は洋風な感じがあって、最初から横浜近辺で撮りたいという気持ちはありました。ロケ地はどこも歩いて行ける範囲にあるので、ロケ地巡りをすればデートができます!

画像1: ロケーション選びはファンタジックなムードを意識して


──横浜といえば、ミナミの横浜アリーナでのライブシーンはファンの熱気がとてもリアルでした。

あれはリアルなんです。miletさんのデビュー5周年を記念した初のアリーナ公演「milet 5th anniversary live"GREEN LIGHTS"」の横浜アリーナでの実際のライブの最後に、ファンのみなさんのアンコールの掛け声がかかる中、miletさんがミナミとして登場したところを撮らせていただけたのです。本当にラッキーでした。

横浜アリーナでのライブがクランクインの2週間くらい前にあるという話を聞き、「横浜アリーナに観客のみなさんがいるところでミナミがステージに立っている姿が撮れたらすごくいいなぁ」と思ったのです。

しかしmiletとしてのライブですし、撮影するとなると、映画とは一切関係がないライブスタッフの方々にご協力いただくことになるので、かなり難しいと思っていたのですが、miletさんサイドに快くOKしていただきました。

miletさんが映画に出ることは一般告知されていたので、観客のみなさんに「これから映画の1シーンを撮ります」と伝えたら、ファンのみなさんも、「ミナミ〜!」と歓声をあげてくださいました。そんなリアルなmiletさんファンの熱気なので、ある種、ミナミへの思いが表現されていたと思います。

画像2: ロケーション選びはファンタジックなムードを意識して


──miletさんはいかがでしたか。

まだミナミとして演技をする前でしたから、本人は「大丈夫かな」とかなり緊張されていましたが、アーティストとして観客の前に立つことは日頃からされているので、ステージに立ってしまえば、堂々とミナミとして挨拶していました。

むしろ「用意、スタート」という声掛けをする僕の方が、なかなかない経験にちょっとドキドキしてしまいました。


──これからご覧になる方々にひとことお願いします。

健人くんとmiletさんは相性がよく、2人とも本当にキュートです。健人くんはいつもならカッコいいスーパーアイドルですが、この作品ではそうではありません。ちょっと抜けていて、だらしなく、弱さもあるところが男から見ても共感できます。また、miletさんの素の可愛らしさもたっぷり出ています。最後まで楽しんでいただけるように作りました。かわいい2人のラブストーリーをご覧ください。

画像3: ロケーション選びはファンタジックなムードを意識して

<PROFILE>
三木孝浩  
映画監督・映像ディレクター  
2000年よりミュージックビデオの監督をスタートし、MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2005/最優秀ビデオ賞、カンヌ国際広告祭2009/メディア部門金賞などを受賞。   2010年、映画『ソラニン』で長編監督デビュー。以降の代表作は、映画『僕等がいた 前篇・後篇』(2012)、『陽だまりの彼女』(2013)、『ホットロード』(2014)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(2016)、『思い、思われ、ふり、ふられ』(2020)、『きみの瞳が問いかけている』(2020)、『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022)、『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』(Netflix/2024)など。

画像: 【インタビュー】新しい中島健人像を引き出したい『知らないカノジョ』三木孝浩監督

『知らないカノジョ』2月28日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

画像: - YouTube youtu.be

- YouTube

youtu.be

<STORY> 
大学時代にお互い一目惚れして結婚した<リク>と<ミナミ>。小説家を目指していたリクは、ミナミのサポートのかいもあり、一気に人気のベストセラー作家に。一方、歌が好きだったミナミは歌手の夢がままならず、毎日仕事ばかりで忙しいリクとのすれ違いの生活に孤独を感じていた。そんなある日、リクの心ない一言がきっかけで二人は大喧嘩してしまう。翌朝リクが目を覚ますとミナミの姿はなく、出版社に打ち合わせに行くも出会う人々と全く話がかみ合わないことに戸惑いを覚える。なんと人気作家だったはずの自分は文芸誌の一編集部員になっており、街には天才シンガーソングライターとして活躍する、自分とは知り合ってもいない“前園ミナミ”の姿と曲が溢れていた――。

<STAFF&CAST> 
監督: 三木孝浩 
原作:『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』(原題:Mon Inconnue)(ユーゴ・ジェラン監督/2021年) 
出演:中島健人 milet 桐谷健太 中村ゆりか 八嶋智人 円井わん / 眞島秀和 風吹ジュン  
配給:ギャガ  
©2025『知らないカノジョ』製作委員会

This article is a sponsored article by
''.