ベストセラー作家となった男が最愛の人を蔑ろにした翌朝、彼女と出会っておらず、しかも、ふたりの立場が逆転した〈もう一つの世界〉に放り出されてしまう。『知らないカノジョ』は中島健人が主演を務め、映画初出演のシンガーソングライターのmiletと共演したファンタジックラブストーリーである。公開を前に三木孝浩監督にインタビューを敢行。キャストとの役作りや演出、ロケーション選びなどについて語ってもらった。(取材・文/ほりきみき)

未知な部分にチャレンジするマインドを持っている中島健人


──主人公の神林リクを中島健人さんが演じています。以前から監督は中島さんと仕事をしたかったそうですね。

ずっと健人くんとご一緒したくて、今作のキャスティングを考えていた時にプロデューサーの松下さんから健人くんの名前が挙がり、それを聞いて、「ぜひ!」という感じでした。このタイミングで健人くんと一緒に仕事ができるのはすごくうれしいと思いましたね。

画像1: 未知な部分にチャレンジするマインドを持っている中島健人


──中島さんのどのようなところに魅力を感じていらしたのでしょうか。

健人くんのアイドル活動や出演しているドラマを見ていると、理想に向かって自分を高めていく努力をしているのがわかります。完璧を目指そうと頑張るところが仕事人の姿勢として、とても魅力を感じていました。松下さんは健人くんがドラマなどで見せる、もどかしくて苛立っている表情がリクにぴったりだと思ったようです。


──実際に顔を合わせてみて、いかがでしたか。

未知な部分にチャレンジするマインドを持っているのではないかと思っていたところ、その通りの方でした。


──リクについて、中島さんは「大人になったのび太」をイメージしていたとコメントされています。監督はいかがですか。

僕自身がそういうキャラクターの方が感情移入しやすいので、リクには健人くんが持っているパーフェクトアイドル的なイメージではなく、どこか未熟さや足りない部分がある未完成なキャラクターを考えていました。

それも作り込むのではなく、素の健人くんの内側にあるもの、まだみんなが見ていない中島健人像の中から引き出せたら、素敵な物語になるのではないかと思ったのです。

ですから、こちらからは「作り過ぎないでほしい」と序盤のうちに伝えました。「このセリフはこういう風に言おう」などと役を固めてしまうのではなく、現場でmiletさんや桐谷くんとお芝居したときに出てくる素の感情を大事にしてほしい。役に対して前のめりになるのではなく、むしろ本人が不安になるくらいリラックスしてもらえればと思っていました。

画像2: 未知な部分にチャレンジするマインドを持っている中島健人


──シンガーソングライターのmiletさんが前園ミナミを演じています。キャスティングされた決め手についてお聞かせください。

僕は元々レコード会社でミュージックビデオを作っていましたし、音楽映画が好きでしたから、企画をいただいたときに、「歌詞に物語のテーマや感情が乗っている作品にしたい」と思いました。それで「ヒロインの役どころはシンガーソングライターにしましょう」と提案しました。「それならばリアルなキャスティングができないか」という話になり、「例えば…」と僕が名前を出したのがmiletさんでした。

ただ、miletさんはお芝居の経験がない。断られることを覚悟し、ダメ元で出演依頼をしたところ、幸運にも興味を持ってもらえて、トントン拍子に話が進みました。

画像3: 未知な部分にチャレンジするマインドを持っている中島健人


──miletさんはクランクイン前に1年掛けて演技のレッスンを受けたそうですね。

興味を持ってもらえたものの、やはり「演技は未経験なので不安がある」とのことでしたから、「まずはレッスンを受けてもらいましょう」と伝えました。

しかし初回から勘の良さが感じられました。彼女のライブを見ていると歌に感情が乗っていて、グッとくる瞬間がたくさんあります。感情を歌ではなく、セリフに乗せてお芝居をすればいいんだということを彼女は最初のレッスンでつかんでくれたようです。

また、いろんなことを音楽的に考えていたところもあるようです。相手のセリフを受けてリアクションするタイミングは、リズム感のような音楽的なものを感じました。


──大学時代と現在を繋ぐ点描シーンでの中島さんとmiletさんに軽やかさを感じたのですが、音楽的な感覚がベースにあったのですね。

それはあるかもしれません。今回、その点描シーンを序盤に撮ったのですが、ざっくりお題だけ渡して、エチュード的にアドリブも含めて自由にやってくださいと伝えたところ、決め込まない自由さを掴んでくれました。

現場が初めてのmiletさんは待ち時間の過ごし方に戸惑っているところもあったようです。健人くんはmiletさんの話し相手となってケアしてくれたので、miletさんも撮影スタイルや環境に慣れていき、2人のチューニングができた気がします。

画像4: 未知な部分にチャレンジするマインドを持っている中島健人

This article is a sponsored article by
''.