イントロダクション
L・フランク・ボーム執筆の原作小説「オズの魔法使い」で少女ドロシーがオズの国に迷い込むずっと前に遡り、この国で最も嫌われた“悪い魔女”と最も愛された“善い魔女”の過去をふたりの視点から描いた物語「ウィキッド」。もともとユニバーサル・ピクチャーズが舞台をプロデュースしていたが、それを改めて映画版にした本作。
主人公は後に竜巻に乗ってやってきた少女ドロシーによって溶かされてしまうことになる緑の肌を持つ西の悪い魔女・エルファバと南の良い魔女のグリンダ。そんな2人の少女時代からの友情と成長、知られざるオズの国の裏の歴史が世界的作曲家スティーヴン・シュワルツの秀逸なミュージカル・ナンバーと共にグリンダの回想録としてつづられていく。
この作品の魅力はなんといってもファンタスティックな世界観を通しながらも、エルファバの肌の色や動物たちを見下す風潮など、アメリカが抱える弱者への差別問題という社会派な視点が際立っているところ。“正義とは何か?”を考えさせられる作品でもある。
エルファバを演じるのはエミー賞、グラミー賞、トニー賞を獲得し、アカデミー賞の候補にもなったシンシア・エリヴォ。グリンダにはグラミー賞受賞アーティストで世界的スーパースターのアリアナ・グランデが扮している。生真面目で地味なエルファバが魔女として覚醒し輝く変化を見事に演じたシンシアと、自信過剰で絶大なオーラを放つグリンダを演じきったアリアナ。美しいハーモニーを奏でる2人の歌声も絶品だ。またオスカー女優のミシェル・ヨーがシズ大学の校長マダム・モリブル、自由気ままな王子フィエロ役のジョナサン・ベイリー、素朴な学生ボック役のイーサン・スレイター、オズ役のジェフ・ゴールドブラムと豪華メンバーが揃いぶみ。監督は『イン・ザ・ハイツ』のジョン・M・チュウ。後篇『Wicked:For Good(原題)』は11月21日に米公開予定となっている。
あらすじ
オズの国のシズ大学で学生として出会ったエルファバとグリンダ。緑色の肌を幼少期からからかわれて内気に育ったエルファバと人気者でキュートなグリンダは、寮で偶然同室になってしまい、ソリの合わない2人は激しく衝突してばかり。しかし次第に互いの誤解を解いて友情を深めていくことに。そんな中で、エルファバは魔女としての特別な能力を発揮。大学のモリブル校長に気に入られて、その腕前を磨いていくことになるが…。
登場人物

エルファバ(シンシア・エリヴォ)
幼少の頃から魔力を持つ少女。モリブルのもとでパワーをコントロールする術を学ぶ。
グリンダ(アリアナ・グランデ)
自信過剰なアッパークラス育ちのお嬢様。どこか憎めない魅力がある。魔力を欲している。

フィエロ(ジョナサン・ベイリー)
ウィンキー国の王子でグリンダが想いを寄せている。興味があれば夢中になるが移り気。

マダム・モリブル(ミシェル・ヨー)
魔法学の権威にしてシズ大学の校長を務める。エルファバの力を認め、その育成に力を貸す。

オズの魔法使い(ジェフ・ゴールドブラム)
熱気球に乗ってオズの地に迷い込み、予言されていた指導者として崇められている男性。

ディラモンド教授(声:ピーター・ディンクレイジ)
シズ大学の歴史学教授を務める言葉を話せるヤギ。エルファバと親しいが大学を追われる。

ネッサローズ(マリッサ・ボーディ)
エルファバの実妹で足が悪い。姉の過干渉に辟易し、自立しようとする。ボックに恋をする。

ボック(イーサン・スレイター)
マンチキン国出身の心の優しい少年。グリンダに一目惚れして彼女と行動を共にしている。

ファニー(ボーウェン・ヤン)
シズ大学の学生。陽気なゴシップ好きでおべっかもよく使うが、陰口の数もハンパない。

シェンシェン(ブロンウィン・ジェームズ)
ファニーの相棒で、グリンダのお世話係として常にグリンダを取り巻いているひとり。
『ウィキッド ふたりの魔女』
2025年3月7日(金)公開
アメリカ/2024/2時間41分/配給:東宝東和
監督:ジョン・M・チュウ
出演:シンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデ、ジョナサン・ベイリー、イーサン・スレイター、ボーウェン・ヤン、ピーター・ディンクレイジ、ミシェル・ヨー、ジェフ・ゴールドブラム
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