第74回カンヌ国際映画祭 オフィシャル・セレクション「カンヌ・プルミエール」部門 選出
── すずの同級生を演じた、成田凌さん、染谷将太さん、玉城ティナさん、幾田りらさんの声の演技はいかがでしたか?
成田くんは飾り気のない素直な男という印象で、とても魅力的だと思いました。それがお芝居にもいい感じで出ている気がします。朝ドラ直後で喉の調子が良くない日もあったのですが、そんなときには他のキャストの芝居を見るなど、自分ができることを探していました。彼のそういう姿勢がすごく好きです。
玉城さんはエキセントリックな役の印象が強く、どんなお芝居をするのだろうと楽しみにしていました。アフレコで感じたのは純粋に芝居のうまい人だということ。それを確認できたことがうれしかったです。
幾田さんは、中村さんと同じく、普段は音楽をやっていますが、この二人、タイプが全然違うところがおもしろかったです。
中村さんは天才型、幾田さんは努力型。ものすごい準備をしてくる幾田さんにはとても驚きました。準備のすごさ以上に驚いたのが修正力です。リクエストに素早く反応し、改善する。レスポンスの速さは素晴らしかったです。
染谷くんは今回で3回目。演技経験のない中村さん、幾田さんを、役者としての芝居はもちろん、声優経験もある成田くん、染谷くんで支えてほしいという思いがあり、男性陣に関してはそれも含めてのオファーでした。染谷くんとは最初の出会いから10年経っているけれど、いい意味で変わらない。とても魅力的な男だし、間違いない役者だと改めて感じました。
染谷くん以外にも、役所広司さん、宮野真守くんなど連続出演となるキャスト陣には、心から頼らせてもらいました(笑)
── 夏といえば細田作品、というイメージですが、細田監督が夏をイメージする作品を教えてください。
夏は映画を作り終え、次の作品のことを考え始めるタイミングでもあります。この時期テレビで放送される戦争特集などをよく観ているので、夏は戦争について考えることが多いです。
映画だと岡本喜八監督の『日本のいちばん長い日』(1967)を思い出します。夏に次回作を考えると“戦争をテーマに”と思うのですが、9月に入ると別のことに興味が移ってしまう。そんなことを繰り返すのが、僕の夏です。
竜とそばかすの姫
全国公開中
<あらすじ>
幼い頃に母を亡くし、高知の田舎町で父とふたりで暮らす17歳の女子高校生・すずは、ある日、全世界で50億人以上が集う超巨大インターネット仮想世界〈U〉に、歌姫「ベル」として参加。母の死をきっかけに歌うことができなくなっていたすずだが、〈U〉では自然と自ら作った歌を披露でき、その歌声で世界から注目される存在に。
そんな矢先、ベルの前に〈U〉で忌み嫌われる「竜」と呼ばれる謎の存在が現れる。すず(ベル)と竜が出逢った先に一体どんな物語が待っているのか、竜の正体とはいったい…!?
配給:東宝
原作・脚本・監督:細田 守
声の出演:中村佳穂、成田凌、染谷将太、玉城ティナ、幾田りら/役所広司/佐藤健
©2021 スタジオ地図
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