カバー画像:Netflix映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』独占配信中
本命は?対抗馬は?
部門別で見る受賞予想
今回のアカデミー賞はどの映画が、誰が栄誉に輝くのか? 最も気になる主要部門の受賞の行方の最新情報をお伝えします。これを読んで、あなたも本命・対抗など自分自身の予想を立ててみましょう!
【作品賞・監督賞部門】『パワー・オブ・ザ・ドッグ』が逃げきるか? それとも…
作品賞部門候補
- 『ベルファスト』
- 『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
- 『ドライブ・マイ・カー』
- 『ドント・ルック・アップ』
- 『DUNE/デューン 砂の惑星』
- 『コーダ あいのうた』
- 『ドリームプラン』
- 『リコリス・ピザ』
- 『ナイトメア・アリー』
- 『ウエスト・サイド・ストーリー』
監督賞部門候補
- ジェーン・カンピオン(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)
- スティーヴン・スピルバーグ(『ウエスト・サイド・ストーリー』)
- ポール・トーマス・アンダーソン(『リコリス・ピザ』)
- ケネス・ブラナー(『ベルファスト』)
- 濱口竜介(『ドライブ・マイ・カー』)
作品賞受賞の可能性で有力となる監督賞候補にも同時に挙がっている5作から見ていこう。オスカーレースが始まったころはケネス・ブラナーの『ベルファスト』が前哨戦の一つトロント国際映画祭の観客賞を受賞し、誰が見ても良い映画という出来の良さからトップランナーと見られていたが、3月初旬時点で作品賞の本命は今回最多候補を誇る『パワー・オブ・ザ・ドッグ』という説が優勢。ジェーン・カンピオンが昨年のクロエ・ジャオ監督に続き女性監督2年連続受賞となるのは、現在の多様性を重視するハリウッドの潮流からして順当なところだろう。
となると、作品賞も『パワー…』が優勢という説が正解のように見えるが、決して盤石ではない。作品の評価は高いが、オスカー前哨戦の重要な賞をいくつか外しているのが心配の種だ。ハリウッドのもう一つの潮流は2年前の作品賞・監督賞受賞作が『パラサイト 半地下の家族』だったことを振り返ると、非英語映画『ドライブ・マイ・カー』の作品賞受賞も今ならありえない話ではない。
本作は全米、ロサンゼルス、ニューヨークの批評家協会賞で作品賞を受賞という圧倒的な実績もある。濱口竜介監督の受賞予想も徐々に上がってきており、投票締め切りまでのロビー活動次第ではひっくり返す可能性もあるのでは。
ポール・トーマス・アンダーソンの『リコリス・ピザ』も評価の高さでは前3作に引けを取らない。アンダーソンが受賞すればカンヌ、ベルリン、ベネチアに次いでオスカーと4つの重要な監督賞を制覇する偉業を達成する。そして忘れてならないのが巨匠スティーヴン・スピルバーグが対立する2つのグループに属する男女の禁断の恋を描く『ウエスト・サイド・ストーリー』だ。前哨戦ゴールデングローブ賞で作品賞(コメディ/ミュージカル部門)を受賞しているので、侮れない存在感がある。
ところがもう一つのオスカー前哨戦の重要な賞である、全米俳優協会賞のアンサンブル・キャスト賞を、オスカーでは監督賞候補になっていない『コーダ あいのうた』が受賞するというサプライズが発生。必ずしも監督賞候補に挙がっていなくても作品賞受賞がありえるということ。
となれば、なんでも自己流の父親がテニス・チャンピオンになる娘たちを育て上げる『ドリームプラン』、ショービズ界で成功した男が人生を狂わせていく『ナイトメア・アリー』、地球に隕石が落ちてくる騒動をコミカルに描く『ドント・ルック・アップ』にも可能性が浮上?
そこで気になるのは『パワー…』の最多11部門12候補に次ぐ、10部門の大量候補となった『DUNE/デューン 砂の惑星』。ドゥニ・ヴィルヌーヴがまさかの監督賞候補落選で騒がれたが、本作は技術系で本命視されている部門が多く、結局最多受賞作になるのではと噂されている。いずれにしても本命確定という状態ではないので、今後まだ動きがありそうだ。