変化していく空気感の流れを作ることに注力したキャスト陣
──監督は映画について「現場は毎日戦いでした。その日撮影するシーンについて、菅田さんを含めたこのメンバー全員で数時間話し合うこともざらな現場でした」とコメントされていますが、具体的にはどのようなことを話し合われたのでしょうか。
色々なことことですね。お芝居の在り方であったり、佇まいであったり。動きであったり、セリフのニュアンスであったり。もっとこうした方がいいのではないかと、1つ1つ確認しながら作っていきました。
──赤峰ゆらを演じた柴咲コウさんが「原作ではクールな印象のゆらさんでしたが、今回の撮影では感情の起伏多めで演出していただきました」とコメントをされていますが、これも現場で話し合った結果なのでしょうか。
そうですね。本当に微妙なチューニング含め、1つ1つご相談しながら作っていきました。
相続人となった4人のキャラクターは最初、距離感があるのですが、次第に協力して謎に向かっていくようになる。みなさんが自分のことだけではなく、全体のことを考えて、変化していく空気感の流れを作ることに注力してくださっていたのを感じました。
菅田さんが「他のキャラクターと一緒に集団で謎を解いていくことはドラマにはなかったので、映画は新しい経験ができた」とよく言っていました。
──狩集汐路を演じた原菜乃華さんはオーディションで決まったと聞きました。
汐路は一見、マイペースでわがままに見えるけれど、自身の心の奥底に傷を抱えている。その両極にある要素をちゃんと表現してくれると思ったので、彼女にお願いしました。
汐路の発言にはすべて隠れた思いがあります。原さんとは“汐路が何を思ってその発言をしているのか”を毎回ちゃんと確認して、汐路を作っていきました。