天然パーマがトレードマークで友達も彼女もいない、カレーをこよなく愛する大学生の主人公・久能整。時に優しく、時に鋭い魔法のようなお喋りだけで、いつの間にか登場人物たちが抱える様々な悩みや事件の謎を解いてしまう。そんな整が広島を訪れた際、代々、遺産を巡る争いで死者さえ出るといういわく付きの名家・狩集家の遺産相続事件に巻き込まれていく。菅田将暉主演の映画『ミステリと言う勿れ』は同名ドラマの映画化です。ドラマに引き続き演出を務めた松山博昭監督に、ドラマ化のきっかけから映画を作るにあたっての苦労、伝えたいことなどうかがいました。(取材・文/ほりきみき)

変化していく空気感の流れを作ることに注力したキャスト陣

──監督は映画について「現場は毎日戦いでした。その日撮影するシーンについて、菅田さんを含めたこのメンバー全員で数時間話し合うこともざらな現場でした」とコメントされていますが、具体的にはどのようなことを話し合われたのでしょうか。

色々なことことですね。お芝居の在り方であったり、佇まいであったり。動きであったり、セリフのニュアンスであったり。もっとこうした方がいいのではないかと、1つ1つ確認しながら作っていきました。

──赤峰ゆらを演じた柴咲コウさんが「原作ではクールな印象のゆらさんでしたが、今回の撮影では感情の起伏多めで演出していただきました」とコメントをされていますが、これも現場で話し合った結果なのでしょうか。

そうですね。本当に微妙なチューニング含め、1つ1つご相談しながら作っていきました。

相続人となった4人のキャラクターは最初、距離感があるのですが、次第に協力して謎に向かっていくようになる。みなさんが自分のことだけではなく、全体のことを考えて、変化していく空気感の流れを作ることに注力してくださっていたのを感じました。

菅田さんが「他のキャラクターと一緒に集団で謎を解いていくことはドラマにはなかったので、映画は新しい経験ができた」とよく言っていました。

画像1: 変化していく空気感の流れを作ることに注力したキャスト陣

──狩集汐路を演じた原菜乃華さんはオーディションで決まったと聞きました。

汐路は一見、マイペースでわがままに見えるけれど、自身の心の奥底に傷を抱えている。その両極にある要素をちゃんと表現してくれると思ったので、彼女にお願いしました。

汐路の発言にはすべて隠れた思いがあります。原さんとは“汐路が何を思ってその発言をしているのか”を毎回ちゃんと確認して、汐路を作っていきました。

画像2: 変化していく空気感の流れを作ることに注力したキャスト陣

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