天然パーマがトレードマークで友達も彼女もいない、カレーをこよなく愛する大学生の主人公・久能整。時に優しく、時に鋭い魔法のようなお喋りだけで、いつの間にか登場人物たちが抱える様々な悩みや事件の謎を解いてしまう。そんな整が広島を訪れた際、代々、遺産を巡る争いで死者さえ出るといういわく付きの名家・狩集家の遺産相続事件に巻き込まれていく。菅田将暉主演の映画『ミステリと言う勿れ』は同名ドラマの映画化です。ドラマに引き続き演出を務めた松山博昭監督に、ドラマ化のきっかけから映画を作るにあたっての苦労、伝えたいことなどうかがいました。(取材・文/ほりきみき)

他のエピソードとは異質の空気感や温度感がある広島編

──撮影を振り返って、印象に残っていることはありますか。

クランクインの日に雪が降ったことですね。整が広島の美術館から出てきたシーンでしたが、場所の制限が厳しく、撮影時間も短かったところに予想外の雪が降ったので撮り切れませんでした。

そこから岡山にいって、東京に戻ってきて、関東圏であちこちロケをして、最後に広島に戻って残りを撮ったのですが、初日に雪が降ってしまったので、画が繋がるように雪降らしの準備をしていたところ、偶然にも雪が降ってくれて、何もせずにうまく画が繋がりました。この仕事を長いことしていますが、なかなかないことです。

画像: 他のエピソードとは異質の空気感や温度感がある広島編

──かなりあちこちでロケをされたのですね。

先程挙げた以外にも、群馬、静岡、横浜、千葉に行きました。もちろんスタジオでセットを建てても撮っています。

──植木鉢が落ちてくるシーンがありますが、シチュエーションとロケーションが見事なくらいあっていますね。

屋敷のロケハンをしていたときに、裏で細い路地を見つけて、これでいけるなと思いました。。原作では2階から落ちてくるのですが、広い庭の中で建物ギリギリのところを歩けるロケーションがなかなか見つからず苦心していたので、すぐにそちらで撮ることを決めました。

──劇伴の印象がドラマとは違いました。

クラシックはドラマよりも減らしています。映画で取り上げた広島編には他のエピソードとは違う異質の空気感や温度感を感じていました。そこで、作曲家のKen Araiさんに「今回は重い空気感や緊張感、苦しさを表現する曲を作ってください」とお願いをして、テレビでは使っていない新しい曲を作ってもらいました。物語的な意味で、音の印象は随分変わったと思います。

今回、映画とは別に特別編をテレビで放送します。そちらと見比べていただくと更に印象の違いを感じていただけると思います。

──特別編が放送されるとのことですが、見る順番はどうしたらいいのでしょうか。

特別編の原作はepisode15ですが、ドラマとしてはepisode1「容疑者は一人だけ」とepisode2「バスジャック事件」の間に起きた物語として描いています。

しかし、映画はドラマや特別編を見ていなくてもわかるように作っていますので、ドラマを見ていないから…と心配される必要はありません。

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