菅田将暉が作り込んでくれた久能整
──田村由美先生の同名人気コミックを2022年にフジテレビ系「月9」枠でドラマとして放送し、そのドラマから映画化ですが、まずドラマ化されたきっかけから教えていただけないでしょうか。
田村由美先生が描かれた「ミステリと言う勿れ」(小学館「月刊フラワーズ」連載中)のepisode1「容疑者は一人だけ」を読んで、ものすごい衝撃を受けました。草ヶ谷大輔プロデューサーに「ドラマにしたい」と伝えたところ、草ケ谷Pも原作を読んでいて、すぐに意気投合。2人で権利獲得に動きました。
──菅田さんとはどのように久能整を作っていかれましたか。
実写化する上で何かを意識的に変えようといった思いはありませんでした。田村先生にご挨拶に行ったときに「このマンガはすごくライトに感じる人がいれば、重く感じる人もいる。読む人の立場や状況によって印象が変わります」と言われた事がとても印象に残っています。
二次元の主人公を生身の人間が演じるにあたって、もちろん菅田さんとは現場で色々ご相談しましたが、やはり菅田さん自身の作り込みが大きいと思います。
──劇場版は原作の2巻から始まる通称「広島編」を題材にしていますが、ドラマはそこを外して作られていました。ドラマを作る段階で、すでに映画化も決まっていたのでしょうか。
その段階で映画化を考えていたわけではありません。ドラマの中において1つのエピソードは長くても2話で収めようと思っていました。しかし「広島編」は尺的な
ボリュームがかなりあったので、連続ドラマで4~5話も掛かるエピソードをやってしまうことを避けました。
また、ドラマの撮影が放送の1年前でしたのでその時点では続編や映画化は全く決まっていませんでした。連続ドラマではこのエピソードを抜いたので、3話目の最後で行く美術館を広島ではなく、大阪にしのですが、そこは計算が狂ってしまいました。
──ドラマにするにはボリュームがあるとのことでしたが、映画化するにはちょうどよかったのでしょうか。
映画にするにしてもちょっと長かったですね。 下手をしたら3時間になりそうだったものを2時間ちょっとに収め込むのは大変な作業でした。エピソードを1つ1つ吟味し、泣く泣く落としたものもあります。映画ではそれぞれのキャラクターの背景で落としてしまった要素もあり、残念に思っていますが、キャストの皆さんはその要素を踏まえてお芝居をしてくれていますし、その補完については現場でかなり相談しました。