大沢たかおの海江田としての第一声にみなが納得
──主人公の海江田四郎を演じる大沢たかおさんはプロデューサーも兼ねていますね。
プロデューサーでありつつ、俳優としてのオーラを纏われているので、第一声の力強さみたいなものに圧倒されました。
もちろん、ご本人はできるだけ隠そうと、気さくに振る舞われていますが、肉体や声にエネルギーみたいなものが溢れているのです。それに気圧されてしまって、喋りながらも「自分は今、何を喋っているのだろう」ということが何回もありましたね(笑)。
プロデュースと出演の両方をされる方は日本では珍しい。でもどちらのこともよくわかっていらして、その上で作り手としても参加されている。大沢さんが作品と真摯に向き合っている力を何とか受け止められるようにしなきゃと思っていました。
──大沢さんは「自分では(海江田に)似ていないなと思う」とコメントされていますが、大沢さんが作ってきた海江田はいかがでしたか。
演出家としてはこう考えているということは事前にお伝えして、あとは大沢さんにお任せしましたが、現場で海江田としての第一声を聞いたときに「こういう海江田なんだ」とその場にいる全員が納得したというか、“これが海江田なんだ”というのをブレずに見せていただいた気がしました。
──それはどのシーンのセリフでしょうか。
今回は順撮りではなく変則的な形で撮影をしていて、玉木宏さんが深町艦長を演じる「たつなみ」のパートから撮り始めたのですが、深町が海江田と無線でやり取りするシーンの撮影時に、大沢さんが現場までいらして声だけ出してくれたのです。
それが海江田としての“第一声”でした。この物語は海江田のカリスマ性や佇まいが中心になりますが、その時の唯一無二の声質というか、喋り方にグッときました。これならまず演技パートは十分戦えると感じたので安心しました。