主演3人を思い浮かべながら読んだ原作に引き込まれた
──原作は五十嵐律人さんの同名小説ですが、お読みになっていかがでしたか。
2020年くらいにプロデューサーから「法廷遊戯」という小説を映画化したいとお声掛けいただいて読みました。その段階で主演の永瀬廉くん、杉咲花さん、北村匠海くんはすでに交渉中ということでしたから、3人を思い浮かべながら読んだのですが、引き込まれましたね。
話がどこに向かっているのか、わからない感覚があり、進んでいくと違う景色が見えてくる。この人はこういうキャラクターなのかなと思っていると違う面が現れる。煙に巻かれる感じがむしろ心地いい。法廷用語がいくつも出てきて難しいのですが、それを読み解いていくと深く入り込んで沈殿していく。そんな印象を受けました。
──脚本開発はいかがでしたか。
草稿を読ませていただき、そこから脚本家の松田沙也さんとプロデューサーとオンラインで打ち合わせをしながら詰めていきました。
登場人物はどの段階で何を知っているのか。お客さんにはどの時点でどこまでわからせるのか。お客さんより先に登場人物にわからせた方がいいのか。そういった順番的なロジックが脚本を作る上で難しい作品でした。しかも、映像物は小説よりも情報量が多いので、お客さんはちょっと先のことを想像してしまいます。その辺りも考慮しながら十数稿重ねていき、直前まで稿を重ねていました。
『法廷遊戯』全国公開中
<STORY>
清義(永瀬廉)、美鈴(杉咲花)、馨(北村匠海)の3人は名門・法都大学のロースクールの同級生。彼らのクラスでは、「無辜(むこ)ゲーム」と呼ばれる模擬裁判が日々繰り広げられていた。このゲームは在学中に司法試験に合格した学校イチの秀才である馨が主宰者で、クラスで起こった事件の罪を申し立てたい生徒が原告になる。残りのクラスメイトたちも参加者として集まって開かれていた。
ある日、清義が16歳のときに殺人未遂の疑いで逮捕され過去を暴く内容のビラがクラスに撒かれた。清義は告発者へ異議を申し立てるため、幼馴染であり現場近くに座っていた美鈴を弁護人に指名し、「無辜ゲーム」を申請した。
やがてロースクール卒業し、清義は弁護士に、馨は大学に残って法学の研究者と別々の道を歩んでいた。久しぶりに「無辜ゲーム」を開くと馨に呼び出された清義が会場にしていた学校の裏の洞窟に向かうと、そこには馨の死体の隣でナイフを手に放心する美鈴がいた。美鈴は清義に「お願い、私を弁護して」と話し、その後は一切口を聞かなくなってしまった。ただの模擬裁判だったはずの「無辜ゲーム」に隠されていた衝撃の事実とは…。
<STAFF&CAST>
監督:深川栄洋
原作:五十嵐律人『法廷遊戯』(講談社刊)
脚本:松田沙也
主題歌:King & Prince「愛し生きること」(UNIVERSAL MUSIC)
出演:永瀬廉(King & Prince)、杉咲花、北村匠海
戸塚純貴、黒沢あすか、倉野章子、やべけんじ、タモト清嵐
柄本明、生瀬勝久、筒井道隆、大森南朋
配給:東映
©五十嵐律人/講談社 ©2023「法廷遊戯」製作委員会