2023年、目黒蓮と佐野勇斗がタッグを組んだドラマが満を持して映画化された。劇場版『トリリオンゲーム』である。ドラマの原作は第69回小学館漫画賞を受賞し、累計発行部数210万部を突破した同名人気コミック(原作:稲垣理一郎・作画:池上遼一)だが、映画は完全オリジナル。主人公のハルとガクが日本初のカジノリゾート開発に挑む。ドラマに引き続き、映画でも演出を担当した村尾嘉昭監督に作品の見どころについて語ってもらった。(取材・文/ほりきみき)

劇場版でこだわったのはカジノ


──ドラマでは就活生からスタートしたハルとガクが回を追うごとに経験を積み、会社役員にまで成長しました。劇場版はドラマの2年後の設定です。ハルとガクはその2年でどう成長したのか、劇場版を撮るに辺り、目黒さんや佐野さんと何か話をされましたか。

ハルに関しては、この2年間、何をしていたのかということも作品テーマの1つですから、ドラマよりも大人っぽくというか、色っぽく仕上げていこうと話をしました。

ガクはドラマのまま演じてもらいました。トリリオンゲーム社の社長になり、社会人としては成長しているだろうけれど、キャラクターの人間性は変わっていないことが大事なのです。


──劇場版ではハルの過去が描かれます。監督がそのシーンに込めた意図などをお聞かせください。

稲垣先生から、「ハルとウルフの因縁を作るのはどうか」というアドバイスを頂いて生まれたシーンですね。ハルが考えていることは誰も理解できなくていいと僕は思っています。主人公が考えていることがわからないドラマってなかなかないですけれどね(笑)。しかし、企画を聞いたときに、原作のそこに魅力を感じてチャレンジしてみたいと思ったことは確かですし、ハルの過去については中学生のときのガクとのエピソードしか出てきていない中で、世界一のカジノ王であるウルフとの出会いはハルがわがままになっていった理由の一端だと思いました。それが垣間見えるというのはとても大事なシーンになるはずですし、この作品のいちばんカッコいい瞬間かもしれないとも思って、モノクロにしました。

画像1: 劇場版でこだわったのはカジノ


──石橋凌さんが演じたウルフの存在感に圧倒されました。

ウルフは難しい役ですが、リアリティのある存在になったのは石橋さんが演じてくださったからこそ。まさに石橋さんが作り上げたキャラクターです。ウルフの金髪やジェルネイル、ピアスは石橋さんから提案してくださいました。衣装もご自身のものを持ってきてくださるなど、感謝しかありません。

ウルフと向き合っているハルの表情が自然と変わっていくのを感じました。石橋さんと向かい合って演じていると緊張感があるんでしょうね。石橋さんはこの作品を引っ張るだけでなく、引き締めてくださいました。

画像2: 劇場版でこだわったのはカジノ


──劇場版はドラマの続きですが、本作から登場するウルフという存在との対決が中心に描かれているので、ドラマを見ていなくてもわかる物語になっています。そして劇場版を見てからドラマに戻るという楽しみ方もあると思いました。

内容的にはオリジナルなので、脚本開発には苦労しました。しかし、脚本家の羽原大介さんが映画を見てからドラマでもいいし、映画だけでもいい物語として書いてくださったので、ドラマをご覧になっていない方にもぜひ劇場版をご覧いただければと思っています。


──劇場版の脚本開発ではどのようなことを意識されましたか。

この物語の良さはビジネスドラマとしてのリアリティとエンタメが半々あるところだと思っています。そこは変えずに、劇場版ではエンタメ的なスケールアップをすごく意識しました。

そして、ハルがどこまで先を考えているのかを煙に巻くようなハッタリや、二転三転する衝撃的な展開をどう作り出すかを課題にして、そこにこだわりました。


──スケールアップという点で、ドラマではできなかったこんなことを劇場版だからやってみたということはありましたか。

スケールアップという意味でこだわったのはカジノでした。この作品には“日本初のカジノリゾート”という大きな柱があります。それが嘘っぽかったり、安っぽかったりするとこの作品全体の質が下がってしまいます。ですから、カジノにはこだわりました。場所を探してきた制作部さんとセットを作った美術さんのお蔭で本当に素晴らしいカジノが出来上がりました。

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──スケールアップの点では目黒さんのアクションシーンも挙げられるかと思います。特にカジノでの回し蹴りは見事に決まっていました。

目黒さんは脚が長いし、ジャンプ力もある。あのハイキックは素晴らしかったですよね。半日も練習せずにできてしまった上に、あの緊迫感あふれるキレキレのアクションを見せてくれました。きっとアクションがお好きなんでしょうね。表情を見ていただければわかるのですが、ご本人の気合の入り方が違います。

アクション監督の田渕景也さんとも相性がよく、田渕さんも目黒さんのことを絶賛していました。


──目黒さんの高い運動能力を知った田渕さんがより高度なアクションに変更されたことはありましたか。

田渕さんはアクション監督として優れた方だからこそ、できないことはさせません。あのハイキックも目黒さんだからこそやってもらったのだと思います。

スケジュールはタイトでしたが、滞ることなくスムーズに撮影を進めることができました。


──飛び降りるシーンもカッコよかったです。

もちろんワイヤーを装着してもらっていますが、目黒さんは飛び降りることや高さについて、一切、恐怖心がなく、躊躇うことなく飛び降りてくれました。「ワイヤーは要りません」とおっしゃったので、「絶対につけてくださいね」と念押ししたくらいです。

ハルは勢いがあってカッコいいですよね。ガクといいコンビです。

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